奨学金が返還できないと自己破産するしかない? 法的な対策を解説
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岸和田市には一般財団法人岸和田市奨学会という団体があり、主に入学金を貸与しています。奨学金は経済的に困難な学生にとっての救済制度ですが、その一方で奨学金の返還が大きな負担となり、苦しんでいる若者がいるというニュースも耳にします。
奨学金を申し込んだ当時は必ず返せるものと思っていたにもかかわらず、実際に社会人になってみると想像以上に負担が大きかったり、思わぬ給与の減少や退職に追い込まれたりするケースもあります。
本コラムでは、奨学金の返済と借金の二重苦に頭を抱えている方向けに、奨学金の返還ができなくなった際に利用できる制度や、自己破産などの債務整理についてベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が紹介します。
1、奨学金とは
奨学金は学生を経済的に支援する制度です。返還義務のない「給付型」と返還が必要な「貸与型」があり、多くの学生が貸与型の奨学金を利用しています。
貸与型奨学金は大学や専門学校を卒業した後に返還していく必要がありますが、これが経済的な負担となり、返還が困難になってしまう人が増加しています。
奨学金を申し込む段階では社会人になって定期的な収入があれば奨学金を返せると考えていても、思わぬ出費や減俸による生活の困窮、病気による収入の減少など不測の事態に陥ることがあります。
もし、そのような場合に奨学金返済のために借金をして補填(ほてん)してしまうと、いずれは奨学金という借金を返すために借金をするようになり、さらに困窮し多重債務へ陥る可能性があります。平成28年度に、実際に奨学金を返せず自己破産となった数は2009件でした(日本学生支援機構)。
2、奨学金返済に困ったときにできること
奨学金制度によって細かい設定は異なりますが、基本的に返還が困難な人に対する救済措置が設けられているので確認してみましょう。
ここでは日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の救済措置を取り上げます。
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(1)減額返還制度
減額返還制度を利用すると毎月の返還額が減額されるので、負担が軽くなります。ただし、返済総額が減るわけではないので、減額されただけ返還期間が延びます。
減額返還制度を利用するための要件は、「災害・傷病・その他経済的理由」により奨学金の返還が難しい状況であることです。「経済的理由」については、年収325万円以下という目安が設定されています。 -
(2)返還期限猶予制度
要件を満たせば最大で10年間、返還期限を猶予してもらうことができます。こちらも前述の減額返還制度と同じく、「災害・傷病・その他経済的理由」によって奨学金の返還が難しい場合に手続きをすることができます。
要件を満たし返還期限の猶予が認められれば奨学金の返還をせずに済みますが、猶予期間が終了すると返還を再開しなければなりません。 -
(3)返還免除
対象となる条件が限られますが、奨学金の返還を免除される場合もあります。
日本学生支援機構には、大学院で第一種奨学金を受けた人のうち、特に優れた業績を残した人には奨学金の一部または全額を免除するという制度があります。学問領域での優れた業績のほか、ボランティアなどの社会貢献における活躍も評価の対象としています。
また、精神もしくは身体の障害による返還免除の制度も設けられています。手続きをする際には、医療機関での診断書などの提出が求められます。
3、奨学金返済で困ったときの法的手続き(債務整理)
救済措置が利用できない場合は「債務整理」という選択肢があります。債務整理とは、借金を見直し、減額や免責によって借金返済の負担を軽くする手続きのことです。債務整理には「自己破産」、「任意整理」、「個人再生」があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
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(1)自己破産とは
自己破産とは、簡単に言うと、抱えているすべての借金をゼロにする手続きです。裁判所に申し立てをし、「免責許可」をもらうことで借金の返済が免除されますが、必要と認められる金額や家財道具を除き、すべての財産を手放すことになります。
裁判所で免責許可が下りるのは、原則として法律に定められた免責不許可事由がないと認められた場合に限られます。借金の返済から解放されることで、安心して生活の立て直しを図ることができるのがメリットです。 -
(2)任意整理とは
任意整理は将来かかる利息分をカットし、月々の返済額を抑えることで借金返済の負担を減らす手続きです。
任意整理には債務整理の対象にする債務を選べるため、複数の借金があった場合、任意整理をするものとしないものを選べます。たとえば、奨学金以外の借金で経済的に困窮している場合、奨学金以外の借金について任意整理を行い、引き続き奨学金を返還し続けることも可能です。
また、任意整理は裁判所に申し立てをせずにできる手続きであり、自己破産や個人再生に比べて手続きが簡便です。 -
(3)個人再生とは
個人再生は裁判所に申し立てを行い、原則として5分の1に減額された借金を3〜5年程度の期間を定めて返済することで完済と見なされる手続きです。前述した任意整理よりも大幅に借金を減額することができますが、煩雑な手続きと厳選な審査が必要になるため、まずは弁護士に相談してみましょう。
4、まとめ
今回は、近年数が増えている奨学金の返還ができない際の対処法を紹介しました。将来のために借りた奨学金に苦しめられてしまうことは、残念ながら往々にしてあります。
生活が困窮して奨学金の返済ができなくなったら、まずは奨学金を借りた団体に相談しましょう。救済措置の対象にならなかったとしても、ひとりで悩まずに弁護士にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスでは、借金に関するご相談は何度でも無料相談を行っておりますので、債務整理を考えている方はご連絡ください。借金トラブルの対応経験豊富な岸和田オフィスの弁護士が、将来を見据えた解決策を提案します。
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