カードローン・キャッシングを滞納するとどうなる? 債務整理で解決を
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金融庁が公開している統計によれば、岸和田市を含む大阪府で登録されている貸金業者の数は129社です(令和2年12月末時点)。全体数の推移は減少傾向にありますが、クレジットカードに付帯するキャッシングや銀行カードローンにより、借金はより手軽で身近な存在になっています。
キャッシングやカードローンは急な出費の際は便利ですが、気軽に利用できるが故に借り入れがかさみ、返済が滞納してしまうケースも珍しくありません。
キャッシングやカードローンから生活費などを工面していた場合、滞納した末にキャッシングができなくなると、何とかカードを継続できないかと頭を悩ますことでしょう。しかし、まずは借金を整理することが先決です。
そこで今回は、キャッシングが突然できなくなる理由から、滞納・放置するとどうなるか、さらにキャッシングやカードローンを法的に整理する方法をベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が解説します。
1、キャッシングできない理由とは?
キャッシングができなくなってしまう理由はさまざまです。まずはキャッシングができなくなる代表的な理由について解説します。
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(1)総量規制の対象になった
カード会社の与信審査などで総量規制の対象になった場合は、それ以上のキャッシングができなくなる場合があります。
総量規制とは貸金業法に基づく借金の規制のことです。総量規制によって返済能力を超える借り入れを防止することで、債務者が多重債務に陥ることを防ぐ目的があります。
総量規制により、貸金業者から借り入れをする場合は、原則として年収の3分の1までしか借り入れができません(貸金業法第13条の2)。
総量規制は貸金業者に該当する全ての業者の合計額で計算されるので、1社だけのキャッシングは総量規制以内であっても、他社とあわせると総量規制を超える場合は、それ以上のキャッシングができなくなります。
なお、銀行のカードローンやクレジットカードで商品を購入するショッピング枠などは総量規制の対象外となっています。 -
(2)返済を滞納している
キャッシングで借り入れた金銭を期日までに返済しておらず、滞納すると、新たにキャッシングができなくなります。
返済の遅れが原因でキャッシングが止まっている場合は、コールセンターに連絡をすればその旨を知らせてくれるのが一般的です。
ただし、キャッシングの返済をしていても、クレジットカードのショッピング枠の返済や、他社のカードや借り入れが遅れている場合は、キャッシング機能が止まってしまう可能性があります。 -
(3)キャッシングの利用枠がない
キャッシングの利用枠が足りない場合は、それ以上キャッシングをすることはできません。急にキャッシングができなくなった場合は、マイページやコールセンターなどで利用枠を確認しましょう。
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(4)利用者情報の変更をしていない
住所・電話番号・勤務先など利用者情報の変更手続きをしていない場合は、キャッシングが止まる可能性があります。登録情報に変更があった場合は、早めに変更手続きを済ませておきましょう。
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(5)カードの磁気不良
キャッシングサービスや利用枠などに問題がなくても、キャッシングに利用するカードの磁気不良という物理的な原因によって、キャッシングができない場合があります。
2、借金を放置するとどうなる?
キャッシングやカードローンの借金を返済せずに滞納し放置すると、主に以下のような不利益が発生する可能性があります。
詳細は金融機関によって異なるので、該当機関に問い合わせしましょう。
- 新たな借り入れの停止
- 遅延損害金の発生。遅延損害金とは、返済の遅れに対して元金に上乗せして支払う罰金
● 数日~1か月ほどの滞納
- 電話やハガキで金融機関から督促の連絡がくる
● 2~3か月の滞納
- 金融機関から内容証明郵便で一括請求の通知がくる
- 信用情報機関に事故情報として登録され、クレジットカード・キャッシング・ローンが5年~最大10年利用できなくなる可能性がある
● 3か月以上の滞納
- 裁判所から督促状や訴状が届く
3、債務整理は借金を整理ための法的手段
返済できなくなった借金を、法的な手続きなどを用いて整理する方法を、債務整理といいます。
債務整理の主な方法は、任意整理、個人再生、自己破産があります。それぞれがどのような借金整理に向いているか、メリットやデメリットなどを解説します。
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(1)任意整理とは
任意整理とは、裁判所を介さずに貸金業者などの債権者と直接交渉をして、利息や遅延損害金のカット、また返済方法を見直すことで、借金を無理なく返済できるようにする方法です。
任意整理は裁判所に申し立てる必要がないため、他の手続きと比べて短期間で完了するのがメリットです。
また、複数の金融機関からキャッシングやカードローンを行っている場合、特定の金融機関を選んで任意整理をし、返済計画に余裕を出しながら、他の借金と併せて返済することも可能です。
一方、任意整理が合意に至るかは、あくまで債権者との交渉次第です。債権者が必ず希望通りの内容で任意整理に応じるとは限りません。また、あくまで、無理なく返済を続けるための手続きなので、収入源がない場合は不向きです。
任意整理をするためには、債務整理の経験が豊富な弁護士に一任し、債権者と適切な返済計画で合意となるよう交渉してもらうことが大切といえるでしょう。 -
(2)個人再生とは
個人再生は裁判所に申し立てを行う債務整理の手続きです。認められれば最大で10分の1まで借金の総額が減額されます。
減額された借金は、原則として3年、最長5年の期間で返済していきます。
個人再生のメリットは、住宅ローンが残っていても自宅を手放さずに借金の整理ができる住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という制度があることです。利用するための要件を満たせば、マイホームを手放さずに債務整理できる可能性があります。
ただし、住宅以外のカーローンが残っている車などは手放す必要がでてくるので注意が必要です。また、任意整理とは異なり、複数の債務がある場合、特定の借金や金融機関を選んで借金を返済することはできません。
さらに、減額された借金をきちんと完済できるように、将来的に定期的な収入を得られる見込みがあることが要求されます。また他の債務整理と比べて手続きが煩雑なため、時間と費用が必要となる可能性があります。 -
(3)自己破産とは
自己破産は裁判所に申し立てて行う手続きで、借金の返済が免除される免責許可決定が確定すると負債がゼロとなります。
任意整理と個人再生は、借金自体はなくならないのに対し、自己破産は税金などの一部の債務を除いて、裁判所に免責許可が認められれば借金自体がなくなるのが特徴です。
自己破産が免除されるという大きなメリットがありますが、その反面、一定の現金や財産を除いて、財産を手放し債権者への返済にあてなければなりません。
またクレジットカードやローンが一定期間利用できなくなったり、警備員や生命保険募集人など、特定の職業に就けなくなったりします。
4、弁護士に借金問題を相談するメリット
借金を返済できない問題を抱えている場合に、弁護士に相談するとどのようなメリットがあるかを解説します。
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(1)借金の取り立てを止めることができる
債務整理を弁護士が受任すると、弁護士は貸金業者などに対して「受任通知」という書類を送付します。
受任通知とは、弁護士が債務者の代理人として、債務整理の手続きを行うことを債権者に通知する書類です。
弁護士が受任した債務者へは、貸金業者や債権回収会社は直接取り立てをすることを禁止されています(貸金業法21条1項9号)。
借金を抱えること自体も心身の負担になりますが、業者から電話や郵送で借金の取り立てをされることも、精神的に大きなプレッシャーになるでしょう。まずは弁護士に相談することをおすすめします。 -
(2)最適な債務整理の方法を検討できる
これまでの解説の通り、債務整理には任意整理、個人再生、自己破産などの方法があります。そのためどれが最適な方法か悩む方もいらっしゃるでしょう。
債務整理の実績豊富な弁護士に相談すれば、借金の総額や内訳、借入先の対応、債務者の生活や勤務状況、手持ちの資産などを詳細にヒアリングし、もっとも適した債務整理の方法についてアドバイスがもらえます。
自己破産をするしかないと思っていても、弁護士がさまざまな要素を総合的に考慮した結果、任意整理で債権者と合意できたり、逆に自己破産をした方が生活を立て直しやすくなることが判明したりすることもあるでしょう。
5、まとめ
信販会社や消費者金融などのキャッシングができなくなる代表的な理由として総量規制にかかった、限度枠をオーバーした、返済が滞っているなどがあります。
キャッシングなどの借金を滞納し続けると、金利や遅延損害金が膨らんで返済がさらに難しくなるなどの不都合が生じてきます。
借金問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスにご相談ください。債務整理の経験が豊富な弁護士が、最善の解決をご提案し、一日でも早い借金問題解決のために尽力します。
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