契約書のリーガルチェックの重要性

  • CASE1191
  • 2024年11月20日更新
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ご相談内容

A社は医療器具の製造会社であり、B社にA社の商品を独占販売させる契約を締結しました。その契約では、最低販売数を保証していましたが、B社の販売は不振で、最低販売数をクリアできませんでした。

A社は、契約書の中に定める「最低販売数量以上の本商品を顧客に販売することを保証する」との文言から、商品の売買契約が成立しており、最低販売数量の商品を引き取って代金の支払いを求めました。
しかし、B社は、商品の売買契約は成立せず、最低販売数量の引き取りと代金の支払いは拒否するとの主張をしたため、紛争となりました。

本件において問題となった契約書について、弁護士によるリーガルチェックはされておらず、紛争化したため、ベリーベストに依頼することとなりました。

ベリーベストの対応とその結果

本件では、交渉の余地がなく、訴訟となりました。

訴訟において、双方ともに従前どおりの主張をしたところ、裁判所は、「最低販売数量の販売を保証する」の文言から、売買契約が成立して最低販売数量の商品を引き取って代金の支払い命じることはできないというA社敗訴の心証を開示しました。

その心証開示を受けて、A社の代理人であるベリーベストでは、B社と和解交渉を進め、B社がA社に対し、一定額の解決金を支払うという、裁判所の心証を上回る有利な条件での和解を成立させ、解決となりました。

解決のポイント

裁判所から心証が開示されたとしても、その通りの判決が出るとは限りません。判決の可能性や心証の強弱、相手方の事情など、さまざまな事情を踏まえて和解交渉はなされるものなので、うまく進めることで、心証を上回る和解を成立させることができることがあります。

■紛争予防のポイント
本件の契約書はA社の従業員がインターネットの情報をもとに作成したものであり、弁護士のチェックを受けていませんでした。

継続的供給契約においては
①基本契約書
②個別の注文書
の2本立てで売買契約が成立するというのが一般的です。契約書のみで売買契約が成立することを明確にするのであれば、本件契約書でA社とB社との間で「本件商品を別紙記載の期限、数量及び価格で売却する」というように明記しておく必要があります。

また、契約書の締結においては、以下のような点もポイントです。

・不履行の場合の損害賠償について違約金条項を明記する
本件では、「最低販売数量の販売を保証する」との記載のみで、その数量を下回った時にどうするのかを決めていませんでした。
たとえば「B社は、A社に対し、最低販売数量を実際の販売数が下回った場合には、最低販売数に不足する数量につき、1台あたり〇円を支払う」などの記載のある違約条項があればA社の希望どおりの結果となったことから、違約条項の明記は重要です。

・契約の解約条項を入れておく
本件のような独占販売契約では、B社も一定の責任を負っていますし、A社側も自社や他社を通じて商品の販売をすることができないため、契約当事者の双方にリスクが発生します。そのため、解約に関する条項も入れておく必要があります。

このように、契約書の作成・締結においては考えておくべき内容が多く、インターネットで見かけるひな形を自社の事情や実際の契約内容に合わせて修正しなければ、契約時に意図したものとは異なる結果になるリスクがあります。

契約を結ぶ際は、弁護士に相談し、契約書の内容について、法的に問題ない内容にすることをおすすめします。

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