亡くなった父の自筆の遺言書を発見! 岸和田市で検認手続きするなら?
- 遺産を受け取る方
- 遺言書
- 検認
- 岸和田
近年は「終活」という言葉も浸透し、自分が亡くなった後のことを考えて生前から遺言書などの準備を行う方が増えました。しかし亡くなる前に、自ら遺言書の存在を家族に明かす人ばかりではありません。遺族が遺品を整理しているときに遺言書を見つけることもあるでしょう。そんなとき、遺言書はその場で開封してはいけないということをご存じでしょうか。遺言書は、未開封のまま裁判所で「検認」と言われる手続きを行う必要があります。その際に利用するのが、家庭裁判所です。
この記事では、岸和田市で遺言書の検認を受ける方法や、遺言書を作成する場合の注意点などを岸和田オフィスの弁護士が詳しくお伝えします。
1、遺言書の種類
遺言書には以下の3種類があります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
まずはそれぞれの遺言書の特徴を簡単に確認しておきましょう。
-
(1)自筆証書遺言
自筆証明遺言書とは、遺言者本人の自筆により作成した遺言書で、もっとも一般的な遺言書といえます。誰でも簡単に作成できるのがメリットですが、正しく内容を記載していないと無効になってしまう恐れもあります。また、法改正により平成31年1月からは財産目録の作成はパソコンでも可能になりました。
-
(2)公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人に作成してもらう遺言書です。原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんなどの心配がありません。ただし作成時には手数料が発生するほか、自分以外に証人が2人必要となります。また、公証人や証人には内容が把握され、1回作ると簡単に変更することはできません。
-
(3)秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言書の存在のみを公証人に証明してもらう遺言書です。内容は秘密にでき、本人の署名があれば本文は自筆でなくても問題ありません。
ただし公証人は内容を確認しないため、不備があった場合は無効になる可能性もあります。また、公証役場での保管はしないため、紛失には注意が必要です。
3種類の遺言書のうち、検認が必要になるのは自筆証書遺言と秘密証書遺言です。
公証人が作成している公正証書遺言は、初めから公的な証明がされているため検認の必要がありません。
それでは、検認の手続きとはどのようなものか、具体的に確認していきましょう。
2、遺言書の開封には検認が必要
-
(1)遺言書の検認とは
自宅などで自筆証書遺言または秘密証書遺言が見つかった場合は、すぐに封を開けてはいけません。裁判所に持ち込み、検認を受ける必要があります。
検認とは、裁判所で第三者の立ち会いのもとで遺言書を開封し、その内容を公的に確認することです。これは遺言書が偽造されたり、内容が書き換えられたりすることを防ぐためです。検認を受けなければ、不動産の登記や預貯金の名義変更などができません。
検認を受けずに勝手に封を開けたり、相続を進めたりすると、5万円以下の過料に処せられる可能性もありますので注意しましょう。
ただし、自筆証書遺言については法改正により令和2年7月から法務局での保管が可能となり、その場合裁判所での検認手続きは不要となります。 -
(2)検認と中身の効力は別のもの
裁判所での検認は、そこに何が書かれているかを証明するための手続きです。具体的に書かれている内容についての判断や効力を確認するものではありません。
もし内容について納得できない相続人がいた場合は、内容に関する判断を求めて裁判を起こす必要があります。
3、検認の手続きの流れ
それでは、検認にはどのような手続きが必要になるのでしょうか。具体的な手続きについて全体の流れや留意点を確認しましょう。
-
(1)必要なもの
申し立て人は、以下のものを準備します。
- 検認申立書
- 相続に関わる全員の戸籍謄本
- 遺言者の除籍謄本(出生から死亡するまでの全ての戸籍謄本)
費用としては、遺言書1通について収入印紙代が800円、検認証明書にかかる収入印紙代が150円、家庭裁判所との連絡に使う郵便切手代(裁判所によって異なります)が必要となります。
-
(2)家庭裁判所への提出
書類が揃ったら、遺言の作成者が最後に住んでいた住所を管轄している家庭裁判所に提出します。岸和田市にお住まいの方であれば、大阪家庭裁判所の岸和田支部が該当します。
-
(3)検認の実施
申し立てから約1ヶ月後、裁判所から検認の実施を知らせる案内が相続人として提出された全員に届きます。申し立て人は立ち会いの義務がありますが、それ以外の人は任意です。 当日は関係者立ち会いのもと、裁判所の職員が遺言書の封を開けます。そこで日付と書かれている内容、署名や筆跡、捺印などを一同で確認し、検認調書を作成します。
実際に相続が発生する場合は、検認証明書の発行も申請します。立ち会いができなかった相続人には、裁判所から検認の終了を知らせる通知が発送されます。
4、遺言書に関する相談は弁護士へ
このように、公正証書以外の遺言書は裁判所での検認が必要となります。また公正証書の場合でも、必ずしもその後の相続手続きがスムーズにいくとは限りません。そこでおすすめしたいのが、相続問題の解決に慣れた弁護士を介入させることです。
-
(1)法的なトラブルにも対応できる
弁護士は、検認の申立書の作成の他、手間のかかる必要書類の収集まで全面的にサポートできます。また、法律上のトラブルが生じて裁判などに発展した場合には、代理人となって法的な主張を行うことも可能です。相続が発生した段階で弁護士に相談しておくと、遺言書に関するトラブルもスムーズに解決できます。
-
(2)遺言や相続に関する正確性
相続で重要になるのが、どのような財産をどの程度持っているか、その調査や価値の査定です。相続についてはさまざまな控除や減免措置、特殊な算定方法などがあります。中には特定の期間のみ有効な規定もあるため、正しい相続を受けるには弁護士へ依頼したほうが確実でしょう。
5、まとめ
今回は遺言書を裁判所で検認するための方法や、3つの遺言書のメリット、デメリットなどをお伝えしました。
相続に関してトラブルを生じさせないためには、弁護士のサポートを受け、相続に関わる皆が納得できるように進めることが大切です。被相続人の遺言書を見つけたときも、その後の手続きを正しく行い、親族同士の揉め事を避けるためには、弁護士が大きな役割を果たします。
遺言書に関して不安や不明点がありましたら、ベリーベスト法律事務所・岸和田オフィスまでご連絡ください。岸和田オフィスの弁護士が心を込めてご相談をお受けします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています