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遺産相続の時効と手続きの流れとは? 知っておくべき基礎知識

2023年09月28日
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遺産相続の時効と手続きの流れとは?  知っておくべき基礎知識

長年疎遠になっていた親族の相続問題に、思いがけず直面するケースがあります。遺産相続が始まれば、相続するか、それとも放棄するか、時効や期限のある中で決断しなければなりません。

裁判所が公開する「令和4年 司法統計年報」によると、岸和田市を管轄する大阪家庭裁判所でも、令和4年度には940件の相続の承認や放棄に関する延長措置の手続きが受理されています。

遺産相続にはさまざまな期限があり、適切な手続きや延長措置をしなければ自分の意に反する結果となる可能性もあるため、注意が必要です。遺産相続に関する時効や期限を把握しておけば、慌てることなく期限までに手続きを済ませやすくなるでしょう。

本コラムでは、遺産相続に関する手続きの基本的な流れや時効制度について、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が解説します。

1、相続の流れを解説

相続の時効を理解するために、まずは相続の基本的な流れを解説します。

  1. (1)相続財産の確定

    被相続人が亡くなったら、まずはどのような遺産(相続財産)があるかを調べ、確定する必要があります。遺産を確定しなければ、分配することができないからです。なお、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、被相続人が生前に抱えていた借金などのマイナスの債務も、相続財産に含まれます。

  2. (2)遺産分割協議

    被相続人が遺言をしていない場合、遺産をどのように分配・処分するかを相続人が話し合って決める必要がありますが、これを遺産分割協議といいます(民法907条)。

    遺産分割協議が成立するには相続人全員の同意が必要であり、相続人の同意がひとりでも欠けていると遺産分割協議は無効になってしまいます。遺産分割協議が実施されないと、いつまでも、誰がどのように遺産を相続するかが確定しません。

    そのため、遺産分割協議を行いたい相続人は、他の相続人に対して遺産の分割を請求する権利が認められており、これを遺産分割請求権といいます。遺産分割協議を実施した場合、遺産をめぐるトラブルを防止するために、取り決めをした内容を遺産分割協議書という書類にして残しておくことが重要です。
    [参考]遺産分割協議書の書き方とポイント

    なお、相続人が誰か不明な場合は、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍を調査することで法定相続人を把握することができます。遠縁の親族の場合、調査に時間がかかることも珍しくないため、早めに遺産相続の実績が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

  3. (3)名義変更と相続税申告

    遺産をどのように分けるかが決まったら、土地や建物などの不動産においては、登記の名義を被相続人から自分に移すよう、不動産の登記の名義変更を行います。また、銀行に預けられた預貯金も同様に名義変更が必要です。名義変更の手続きの際には、正しい継承者であるかを示す遺産分割協議書が必要となります。

    また、相続する遺産の額が一定以上の場合は、相続税の申告と納付の手続きを行う必要があります。
    相続税の申告に関しては、次章の(3)相続税の申告 で詳しく解説します。

2、相続が始まってから1年以内の時効

相続が開始してから1年以内に時効がかかる、相続関連の制度について解説します。比較的早く時効をむかえるため、早めに対策や手続きを進めることが重要です。

  1. (1)相続放棄の熟慮期間

    相続放棄とは、文字通り相続の権利を放棄することです。相続放棄をすると、その相続に関して初めから相続人にならなかったものとみなされます(民法939条)。

    たとえば、相続をすると多額の債務を抱えることになる場合などは、相続放棄をすることでマイナスの遺産を相続することを免除されます。

    ただし、相続放棄は「相続の発生を知ってから3か月以内」にしなければなりません(民法915条)。これを熟慮期間といいます。 “相続の発生を知ってから”とは、厳密には「被相続人が亡くなったことを知り、かつ自分が相続人になったことを知ったとき」ですが、一般には被相続人の死亡を知ったときが該当します。

    たとえば、被相続人が9月10日に亡くなって、相続人がそのことを知ったのが9月20日の場合、相続放棄の熟慮期間は9月20日から3か月以内です。

    熟慮期間を過ぎてしまうと、家庭裁判所に期間の延長を認めてもらうなどの特別な事情がない限り、原則として相続放棄ができなくなってしまうので注意が必要です。

  2. (2)限定承認の熟慮期間

    限定承認とは、被相続人の遺産から借金などの債務を精算し、余った財産のみを受け継ぐことができる制度です。借金を相続しなくても済む点は相続放棄と同じですが、遺産が余れば相続できる点が限定承認の特徴です。

    相続放棄と同様に限定承認も熟慮期間があり、「相続の発生を知ってから3か月以内」に行う必要があります(民法915条)。熟慮期間を過ぎてしまうと、特別な事情がない限り限定承認ができなくなってしまう点も、相続放棄と同様です。

  3. (3)相続税の申告

    厳密には時効ではなく申告の期限ですが、相続税の申告と納税は「相続が開始したことを知った日の翌日から10か月以内」にしなければなりません。相続が開始した日の翌日ではなく、相続の開始を知った日の翌日である点がポイントです。

    たとえば、被相続人が亡くなったのが7月10日であっても、相続人が海外に居住していたために、被相続人の死亡を知ったのが7月20日の場合は、相続税の申告期限が開始するのは7月11日ではなく7月21日です。

    ただし、相続人が複数いる場合は、相続が開始したことをいつ知ったかによって、相続人ごとに相続税の申告期限が異なる場合があります。

    もし相続税を期限までに申告しなかった場合、相続税の控除を受けられなかったり、納税が猶予されたりする特例制度が利用できなくなる場合があるので注意しましょう。

  4. (4)遺留分侵害額請求の時効

    被相続人の配偶者や子どもなど、一定範囲の法定相続人(被相続人の直系尊属と直系卑属)に認められている最低限の相続財産の取り分を、遺留分といいます。

    もしも、遺留分を侵害する相続が行われた場合、遺留分を侵害された遺留分権利者は、遺留分に相当する金銭の支払いを他の相続人に対して請求する権利があります。これを遺留分侵害額請求権といいます(民法1046条1項)。

    たとえば、被相続人の長男と次男が法定相続人のケースにおいて、「長男に遺産をすべて相続させる」旨の遺言があったとします。次男の遺留分が200万円だとすると、長男が遺言に従って遺産のすべてを相続したとしても、次男は遺留分侵害額請求権を行使して、長男に200万円の金銭の支払いを請求できます。

    遺留分侵害額請求権の時効は、「相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年」です(民法1048条)。つまり、自分が遺留分を有する相続が開始したことと、遺留分を侵害するような贈与などがあったことの両方を知ってから1年が経過すると、時効が成立するということです。

3、相続が始まってから10年以内の時効

総額が開始してから10年以内に到来する時効として、相続回復請求権の時効があります。

相続回復請求権とは“表見相続人”によって自分の相続権を侵害された“真正相続人”が、権利を回復するための制度です。真正相続人とは、相続権を有する人物をといいます。一方、相続人を自称したり放棄したにもかかわらず権利を主張したりする人物を表見相続人といいます。まれなケースではありますが、相続の権利がない人物が不当に相続をしていた場合「遺産を返してほしい」と請求する権利が、相続人にはあるということです。

相続回復請求権は、相続人またはその法定代理人(相続人が未成年の場合の親権者など)が、「相続権が侵害された事実を知ったときから5年間が経過したとき」は、時効にかかります(民法884条)。

4、特に時効が設けられていないもの

相続に関する制度のうち、時効が設けられていないものについて解説します。

  1. (1)共有物の分割

    相続人が複数いる場合、遺産分割によって遺産の帰属先が決まるまでは、遺産は相続人同士で共有している状態にあります(民法898条)。

    相続人同士で共有している遺産の分割については時効がないため、相続登記をしなければ、制度上は不動産を共有している状態を継続することになります。

    ただし、昨今の空き家問題など、不動産が共有状態のまま放置されることにより社会的な損失になっていることもあり、将来的に民法が改正されて時効制度が設けられる可能性はあります。

  2. (2)不動産名義の変更 ※令和6年に法改正の予定あり

    土地や建物などの不動産を相続した場合、不動産の名義を相続人に変更するには相続登記を行う必要がありますが、現時点では、時効の制度はありません。

    しかし、令和6年4月1日から相続登記の義務化が始まる点に、注意が必要です。法改正後は、相続の開始および不動産の取得を知ったときから3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科せられることになります。
    この法改正は過去に相続した不動産に対しても適用されるため、現時点で時効がないと言えども、相続登記を行うようにしましょう。

    なお、相続した不動産を第三者に売却するには、不動産の登記の名義を相続人にしなければなりません。不動産を売却する予定がある場合は、早めに相続登記をしておくことが重要です。

5、弁護士に相続問題を依頼するべき理由

相続放棄や相続回復請求権など、相続に関する制度は熟慮期間や時効が設けられている場合が少なくありません。

相続開始からすぐに弁護士に依頼すれば、相続に関連する時効の制度について、的確なアドバイスをしてくれます。また、相続問題は相続開始前から相続人と被相続人で話し合いをしておくことが、スムーズな相続につながります。遺産相続の実績が豊富な弁護士に相談をしておくことで、安心して相続に備えることができます。

さらに、遺産分割協議が難航しているので弁護士に間に入ってもらう、遺留分の請求に相手が応じないので、弁護士に依頼して遺留分侵害額請求をしてもらう際などにも迅速に対応してもらえることが期待できます。

相続問題について悩んでいたら、まずは弁護士に相談してみましょう。

6、まとめ

遺産相続に関連する時効や期限がある制度として、相続放棄と限定承認の熟慮期間、相続税の申告期限、遺留分侵害額請求権の時効などがあります。

定められた期限の間に手続きをしないと、相続放棄や請求権を行使できないなどの不利益を被る可能性があるので、弁護士に相談して早めに対策することがおすすめです。気持ちがつらいときに手続きのことを理解したり、進めていったりするのは大変なことですが、そのような精神的な負担も軽減されるでしょう。

遺産相続についてお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスにご相談ください。遺産相続問題の経験豊富な弁護士が、相続問題の円満な解決に向けて尽力します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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