遺産分割協議でトラブルにならないために! 弁護士が解説する手続きやポイント
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岸和田市が公開しているデータによれば、平成29年における市内の死亡者数は2017人です。人が亡くなれば、残された人は死亡届の提出や葬儀の執行、相続関係など、さまざまな手続きを行います。
今回はこれらの中から相続手続きの中心となる「遺産分割協議」について、その目的や流れ、弁護士を利用するメリットなどを説明します。人生の中で遺産分割協議を経験することは多くはないはずです。親族同士のトラブルにならないよう、岸和田オフィスの弁護士がひとつずつポイントを解説していきます。
1、遺産分割協議とは?
誰かが亡くなった場合、基本的には法定相続人が財産を相続することになります。その際、相続人がひとりだけであれば、その人が全てを相続します。しかし、相続人が複数いたとしたら、誰がどの遺産を相続するのかを話し合う必要があります。この話し合いのことを「遺産分割協議」と言います。
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(1)遺産分割協議の目的
遺産分割協議の最終的なゴールは、適切な遺産分割を行うことです。
そのためにはまず「遺産分割協議書」を作成する必要があります。遺産分割協議書を作成していないと、全ての預金を引き出せなかったり、自由に土地を処分できなかったり、将来のトラブルの原因となります。こうしたトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議が必要な場合は相続人全員で話し合い、必ず遺産分割協議書を作成しておきましょう。 -
(2)遺産分割協議の期限
遺産分割協議自体には、法的な期限は設けられていません。しかし、できる限り被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に協議を終えたほうがよいでしょう。その理由は、相続税の申告期限が「相続開始日の翌日から10ヶ月以内」と定められているからです。この期限を越えると、延滞税や加算税が課せられるなど負担が重くなってしまうため、早めに遺産分割協議を開始しましょう。
2、遺産分割協議に必要な3ステップ
遺産協議分割書を作成するためには、以下の3つを行う必要があります。
- 遺言書の確認
- 遺産と相続人の確認
- 遺産分割協議の実施
それぞれ詳しく解説していきましょう。
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(1)遺言書の有無を確認する
相続は、原則として遺言書に従って行う必要があります。そのため、まずは遺言書がないかどうかを確認しなければなりません。主な保管場所としては、故人の自宅、公証役場、銀行の貸金庫などが考えられるため、これらの場所を重点的に探すとよいでしょう。
遺言書がない場合、あるいは遺言書があっても相続人全員が協議に同意する場合は、話し合いで相続を行います。 -
(2)遺産と相続人を把握する
遺産分割協議を行うことになったら、遺産と相続人をすべて把握する必要があります。
遺産には現金・預金・土地・建物などの資産と、借金・ローンなどの負債があり、これらは全て遺産分割の対象になります。このような遺産を探す際には、通帳や固定資産課税台帳(名寄せ帳)などを確認するほか、郵便物や契約書類などからヒントを得る方法もあります。
また、ここでいう相続人とは法定相続人のことを指します。法律上、相続資格を有する人のことで、配偶者は必ず法定相続人になります。配偶者以外は、法律上の優先順位に従い、子ども、両親、兄弟姉妹などが相続権を得ます。相続人を把握するには、故人の一生分の戸籍謄本類が必要になります。 -
(3)遺産分割協議を開始する
全ての遺産と相続人を把握したら、実際に「誰が何を相続するのか」を話し合って決定します。話し合いの場所や手段は決められていませんが、必ず相続人全員で話し合いをしなければなりません。仮に参加していない人がいると、遺産分割は無効になるので注意してください。
3、遺産分割協議でよくあるトラブル
遺産分割協議は必ずしも円満に解決するとは限りません。相続を巡ってトラブルが起こるケースも多くあります。トラブルの内容は多岐にわたりますが、主なトラブルには以下のようなものがあります。
- 遺産が不動産のみしかないが、兄弟が住んでいて売却できない
- 兄弟が親の事業を手伝っており、その分多く財産を要求してくる
- 兄弟姉妹が不仲のため、相続人同士で連絡が取れない
- 親戚や兄嫁といった、法定相続人以外の人が口を出してくる
- 被相続人の隠し子や、養子縁組をした子どもが突然現れる
このようなトラブルが起きてしまうと、遺産分割協議は難航する可能性が高いです。
なお、協議がまとまらない場合は調停分割を行い、調停分割が成立しなかった場合は審判分割を行うことになります。調停や審判になると時間や労力などを使うため、できることなら協議で解決できるのが望ましいでしょう。
4、遺産分割協議で弁護士に依頼するメリットは?
遺産分割協議において主張できる権利を持つのは相続人のみですが、その相続人が弁護士を代理人とした場合は別です。代理人となった弁護士は、依頼人の取り分や権利などを主張できます。また、相続放棄や遺留分減殺請求など、相続全般の相談にも対応することが可能です。
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(1)代理人として正当な主張をしてくれる
ほとんどの方は法律に詳しくないため、遺産分割協議で無理な主張をされても上手に反論できないでしょう。そのようなときでも弁護士がいれば、法律に基づいた判断や反論をしてくれます。また、他の相続人に会いたくないといった場合でも、弁護士が代理人としてスムーズに協議を進めてくれます。
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(2)遺産協議分割の手続きを依頼できる
遺産分割協議を始めるにはすべての財産や相続人を確認しなければなりません。銀行口座の開示請求や戸籍謄本類の収集など手続きが多く、ほとんどの方は慣れていないため手間取ってしまうでしょう。弁護士に依頼すれば、これらを依頼人に代わり行ってくれます。また、遺産分割協議書の作成も依頼できるため、ご自身の負担を大幅に軽減できます。
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(3)相続全般の相談に対応してもらえる
相続放棄を考えている、遺留分を主張したいなど、相続に関する悩みはさまざまでしょう。相続問題の解決に慣れた弁護士であれば、個別のケースに応じた解決方法を的確にアドバイスできます。必要に応じて、申述書の作成や提出、法的手続きといったサポートまで対応可能です。
5、まとめ
遺言書がなく、相続人が複数名いる場合、遺産分割協議によって相続する財産を決定することになります。しかし、相続人同士の関係や相続財産の種類など、内容によっては協議がうまく進まない場合も多くあるでしょう。
もし相続を円満に進めたい、希望通りに財産を相続したいなど、遺産分割協議に関する悩みやご希望がありましたら、ベリーベスト法律事務所・岸和田オフィスまでお問い合わせください。岸和田オフィスの弁護士が力を尽くして対応いたします。
ご注意ください
「遺留分減殺請求」は民法改正(2019年7月1日施行)により「遺留分侵害額請求」へ名称変更、および、制度内容も変更となりました。
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