【後編】異母兄弟にも相続権がある? 岸和田オフィスの弁護士が解説
- 遺産を受け取る方
- 異母兄弟
- 相続
- 後編
- 岸和田
前編では、あなたに異母兄弟いる場合における相続について、相続権の有無や、相続可能な割合などについて解説しました。岸和田市には市民相談室が設けられていて、遺言や相続問題に関しての相談を受け付けています。相続問題はたとえ血がつながっている家族同士であっても泥沼化しやすいものです。岸和田市のお住まいの方にも、多くお悩みの方がおられることでしょう。
後半は、引き続き、異母兄弟もかかわる相続について、起こりやすいトラブルや回避方法について、岸和田オフィスの弁護士が解説します。あなたの代理人として協議できる者は弁護士に限られます。それぞれの問題が絡み合ってしまう前に、万が一に備え、相談しながら進めることをおすすめします。
3、異母兄弟の相続でよくあるトラブル
実際に異母兄弟が相続にかかわる場合、起こりやすいトラブルについて解説します。
-
(1)協議したくても消息不明
異母兄弟の存在自体を、父親が亡くなってから戸籍謄本で初めて知ったというパターンもあるようです。そのような場合、異母兄弟と連絡を取ることも大変でしょう。しかし、連絡を取らなければ、遺産分割協議すら始められません。
どこにいるのかわからない場合は、以下ふたつの方法が考えられます。
【不在者財産管理人を選出】
まずは不在者財産管理人を選出します。本来財産の管理を行うためだけに選出されるものです。そのため、遺産分割協議に消息不明の異母兄弟の代わりに参加する場合は、家庭裁判所に「権限外行為の許可」を申請、許可がおりれば遺産分割協議に参加できます。そして、遺産分割協議に合意したあとは、消息不明の異母兄弟に代わって署名捺印をすることが可能です。
【異母兄弟の失踪宣告】
どれほど手を尽くしても異母兄弟と連絡が取れないこともあるでしょう。その際は7間生の死不明をもって、普通失踪宣告を届け出ることができます。これとは別に危険(特別)失踪として、戦争や震災に巻き込まれたことが予想される場合は1年間の行方不明で失踪手続きが可能です。失踪宣告が認められれば、死亡と同じ扱いに法律上はなりますので遺産分割協議が始められます。
この場合、もしも失踪者である異母兄弟に子どもがいれば、その子どもを遺産分割協議に参加させることになります。また、もしも、遺産分割後に失踪したと認定されていた異母兄弟が生存していることが、協議完了した後に連絡が取れた場合は相続権が復活します。その際、相続財産の返還を要求されることになる可能性が残ります。 -
(2)相続における感情のもつれ
同じ父母から生まれた兄弟でも、こと相続となるともめることが多いものです。それが異母兄弟となると、最初から割り切れない感情のまま話し合いに突入することがほとんどでしょう。
相続の段階になって、急に異母兄弟の存在が発覚すれば、ショックなことと思います。異母兄弟の方にしてみても、これまでの不満が大きいケースが想像できます。対立状態から入る遺産分割協議では、感情のもつれから、なかなか話し合いがうまくいかないことが考えられます。
4、異母兄弟の相続でトラブルを回避する方法
異母兄弟の相続において、トラブルを回避できる確率を上げる方法について解説します。
-
(1)遺言書を作成してもらう
死亡後にもめないためにも、あなたと異母兄弟の親である父親が元気な間に遺言書を作成しておくように依頼しましょう。遺言書において「誰にどの遺産を渡す」などと明記しておけば、相続が発生した際に尊重されます。また、分割の理由も書いておくと、思いが伝わってトラブルを回避できる場合もあるでしょう。
もちろん、遺言書がすべてというわけではありません。兄弟姉妹を抜いた法定相続には遺留分という相続財産における最低限度の割り当てがあります。もし、納得がいかない場合は、この遺留分を巡って調停や裁判が行われることもあるでしょう。また、遺言書の作成方法は民法によって定められているため、せっかく作成したとしても、間違っていれば法的に無効となる可能性があります。
不要なトラブルを回避したいのであれば、あらかじめ弁護士に相談しながら遺言書を作成したほうが安心かもしれません。 -
(2)弁護士に相談する
遺言書があったとしても、もめごとになる事態が予想される場合は、最初から弁護士に依頼することをおすすめします。第三者として法律ではどのようになっているかを、冷静に異母兄弟へと説明することができます。
また、異母兄弟と連絡が取れない場合の複雑な手続きも弁護士に依頼することで、手間や時間が大幅に節約できます。相続は手続きに時間がかかるケースも多いものですが、税金面などを考えれば早急に解決したほうがよいという面があります。
相続に対応した経験が豊富な弁護士に相談しながら進めることで、トラブル回避につながる可能性が大きいでしょう。ひとりで抱え込まず、お気軽に弁護士へとご相談ください。
5、まとめ
今回は、あなたに異母兄弟がいる場合、その父親が死亡した際の相続について解説しました。立場的に難しいと感じるかもしれませんが、法的な解釈においてそれぞれの立場や得られる当然の権利は、感情論とは別ものです。
主張すべきところは主張し、準備できるものは準備をして、相続に挑みましょう。トラブルになりそうなときには、いち早くベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスへご相談ください。相続問題に関する知見が豊富な弁護士が、場合によっては税理士などその他士業と連携を取りながら、できるかぎり納得ができる相続ができるよう、力を尽くします。
>前編はこちら
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています