転売は違法行為? 何をしたら逮捕されるのか具体的ケースを解説

2020年09月16日
  • その他
転売は違法行為? 何をしたら逮捕されるのか具体的ケースを解説

インターネットやアプリケーションの発展により、個人間での所有物の売買が簡単に行えるようになりました。身の回りで不要になったものを売却して現金化したい、副業で価値のありそうなものを仕入れて転売したい、そう考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一方、2020年の8月、人気アイドルグループのチケットを転売した女性に対し、大阪地裁は、懲役1年6月・執行猶予3年・罰金30万円、偽造身分証明書の没収の判決を言い渡しました。

誤った知識や方法で転売を行うと違法行為となり、逮捕されてしまう可能性があるので注意が必要です。本コラムでは、転売で違法になるケースと注意点について、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が解説していきます。

1、転売は違法行為なのか?

チケットを転売したとして逮捕されるニュースが報道されると、転売行為自体が違法と考える方もいるのではないでしょうか。しかし、正しい方法で販売すれば、転売は違法行為に該当しません。

転売行為が違法ではない第一の理由として、安値で仕入れて高値で販売するのは商売の基本であるという考えがあります。私たちが普段購入している日用品は、ほとんどのものが転売で成り立っています。そのため、転売行為そのものが違法ではなく、転売行為の中に違法に該当する条件がある、という考え方が正しいといえるでしょう。

また、転売行為が違法に該当するかは各法令違反のほかにも、都道府県の条例によって異なります。たとえば、大阪府の「大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」第2条では、急行券や乗車券などの交通機関を使うための券類や、娯楽施設を利用するための券類を転売したり、転売する目的で仕入れたりすることを禁止しています。

2、古物営業法違反について

転売行為が違法になるか否かを考えるときに、まず知っておくべき法律は「古物営業法」です。古物営業法は、古物営業をするための規制を行ったり権限を与えたりする法律です。この法律に違反する転売行為をすると古物営業法違反として厳しく罰せられることになります。

ここでは、古物営業法の内容と実際に古物商免許を取得するための段取りについて解説していきます。

  1. (1)古物営業法とは

    古物営業法とは、古物の売買が行われる際、その古物が盗品であった場合は取引を停止し、所有者のもとに速やかに物品を返せるように、古物の売買に規制を設け、被害の回復を目的として作られた法律です。

    つまり、不法に手に入れられた古物の売買を防ぎ、盗難品を早期に発見し所有者のもとに返すために制定された法律です。

    ここでいう古物とは、古物営業法第2条において、「一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手、その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。)」と定められています。

  2. (2)古物商免許を取得するには

    古物を売買するためには、古物商の免許が必要です。

    無免許で古物商を行うと、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に科せられます。無免許営業のほかにも、名義貸しや定められた場所以外で営業を行った場合にも、懲役や罰金が科せられる可能性があります。

    古物商免許を取得するためには、必要書類を役所でそろえ、許可申請書などとともに警察署に提出します。その後、都道府県公安委員会による審査を経て、審査が通過したら古物商許可証が与えられます。準備から許可証の発行までは通常1か月以上かかります。

  3. (3)量刑・罰則

    古物営業法に違反する行為をすると以下のような罰が科せられます。行った行為により、懲役と罰金どちらかが科せられるものと、罰金のみ科せられるものに分類されます。

    • 無許可営業、名義貸しなど……3年以下の懲役または100万円以下の罰金
    • 法定場所外営業……1年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • 古物台帳への虚偽の記載や保存の義務違反など……6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
    • 許可証の携帯・営業内容変更などの届け出義務違反など……10万円以下の罰金

3、転売が違法になるケースとは

転売といってもすべての転売行為が違法に該当するわけではありません。ただし、思わぬものが違法になるケースもあります。

転売で罪が問われる主なケースは、以下の通りです。

  • チケット(チケット不正転売禁止法)
  • マスク(国民生活安定緊急措置法)
  • 輸入化粧品(医薬品医療機器等法)
  • 偽物のブランド品(刑法・商標法)
  • 酒(酒税法)
など


チケット不正転売禁止法は2019年6月に施行されました。これにより、コンサートチケットなどを購入して利益をのせ高値で売却する行為は、違法な転売として処罰されることとなりました。また、ダフ屋のようなチケットを直接販売する行為は、各都道府県にて定められている迷惑防止条例にもとづき罰せられることもあります。

続いて、転売をしても違法にならないケースについて解説していきます。

4、適法に該当する3つのケース

転売をしても違法にならないケースは以下の場合です。

●正式な手続きで古物商の許可を取得した場合
規定の手順で手続きを行い古物商の許可を取得した上で古物の売買をするのであれば、当然ながら違法には該当しません。

●古物に該当しないものを販売した場合
古物とは、すでに使用されたものを指すため、新品の商品を販売する場合は古物の売買には該当しません。また、自分でただでもらってきたものや、自分の日用生活品を販売した場合も古物の売買には該当しません。

ただし、はじめから売買目的で新品の商品を購入した場合、購入された商品は「新古品」として古物商の許可が必要になります。気を付けましょう。

●不用品を転売した場合
自分自身や家庭で使っていて使用しなくなったものを、リサイクルショップやオークションサイトに出品することも原則的には適法内となります。たとえば、子どもが使用していた物品を子どもの成長とともに使用しなくなったため売却する場合などです。

ただし、不用品といっても継続的に販売をして利益を出していると、営利目的とみなされ警察から摘発される可能性がありますので注意が必要です。

5、まとめ

身の回りのものを簡単に売却できて換金化できるよう便利な世の中だからこそ、自身の行為が違法行為に該当していないかよく確認する必要があります。特に転売目的で商品を購入し、継続的に販売している方は注意しましょう。

もしも転売行為に不安があり適法か違法か分からないという方は、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスまでご相談ください。経験豊富な弁護士が、転売行為についてご相談にのり、問題解決に向けて尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています