リフォーム詐欺で逮捕された場合の量刑は? 岸和田市の弁護士が解説

2019年09月18日
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リフォーム詐欺で逮捕された場合の量刑は? 岸和田市の弁護士が解説

「台風が来たら瓦が飛んでしまう」とうそをつき、不要な修理をし、代金をだまし取ったとして、大阪府の住宅リフォーム会社の経営者や従業員が詐欺容疑などで逮捕される事件がありました。このようなリフォーム詐欺では、意図的に被害者をだますケースもあれば、会社の実態をよく知らずに入社してしまい、結果的に会社が行う詐欺に加担することになってしまったというケースもあるようです。
本コラムでは、リフォーム詐欺で逮捕された場合の量刑や逮捕後の流れをベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が解説していきます。

1、リフォーム詐欺とは

  1. (1)リフォーム詐欺とは

    リフォーム詐欺とは、自宅の建物などの老朽化や不備を理由に「リフォームの必要がある」とだまし、工事代金を支払わせる詐欺のことです。
    リフォーム詐欺の手口としては、建物の外壁の工事を提案して適正価格以上の過大な請求をしたり、「家が傾いている」「屋根瓦にひびが入っている」とうそをついて不要な工事する、あるいは実際には工事をしないといったものがあります。

  2. (2)詐欺罪が成立する要件とは?

    リフォーム詐欺は、刑法上の「詐欺罪」に該当する可能性があります。
    それでは、どのような行為が詐欺罪となり得るのでしょうか。
    詐欺罪が成立するのは次のような要件がそろったときです。

    • 相手をだます行為があること
    • だますことによって相手(被害者)が事実とは異なる認識(錯誤)をすること
    • 錯誤に陥った被害者が、財物ないし財産上の利益の処分をすること
    • だますつもりで金品を受け取る、サービスを受けること


    リフォーム詐欺の場合、お金を奪うために被害者をだました場合、逮捕される可能性があります。

  3. (3)リフォーム詐欺の量刑

    詐欺罪の刑罰は、懲役10年以下と刑法で定められています。詐欺罪は、罰金刑がなく、懲役刑のみが科せられる重い犯罪です。ただ、初犯で被害額が小さく、悪質性が低いと思われる場合などには、執行猶予がつく可能性もあります。

2、逮捕後はどうなる?

リフォーム詐欺で逮捕された後の流れは、主に以下のとおりです。

  1. (1)逮捕

    逮捕後は、警察署に連行され、被疑者として取り調べを受けることになります。
    警察では、取り調べでの聴取内容をもとに供述調書が作成されることになります。この供述証書は裁判で重要な影響を持つため、もし事実と異なる部分があるのであれば署名捺印を求められても拒否するなど、適切な対応をすることが大切です。

    警察は、逮捕後48時間以内に検察官に送致するかどうかを判断します。

  2. (2)検察官送致・勾留

    検察官に事件が送致された場合は、検察官が話を聞く弁解聴取という手続きが行われます。検察官は、送致されてから24時間以内に起訴するか、勾留請求するか、釈放するかを判断します。
    勾留とは、被疑者が住所不定であったり被疑者に逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合に引き続き身柄を拘束することをいいます。
    勾留請求は検察官から裁判官に対して行われますが、裁判官によって勾留が決定すれば、原則として10日間身柄を拘束されることになります。また勾留の延長が認められた場合には、さらに最大10日間勾留され、勾留期間は最大20日間になることもあります。
    なお、検察でも聴取内容をもとに「弁解録取書」が作成されるので、被疑者は警察の調書と同様に事実と異なる部分がないか確認して適切な対応をとらなければなりません。

  3. (3)起訴・不起訴

    勾留期間中に検察官は、事件を刑事裁判で裁く必要があると判断する場合には起訴します。
    起訴された場合には、日本では99%以上の確率で有罪になります。
    そして原則として、判決が言い渡されるまで身柄は引き続き拘束されることになります。
    一方、検察官が事件を刑事裁判で裁く必要がないと判断すれば不起訴になり、前科がつくこともありません。

  4. (4)刑事裁判

    起訴されて刑事裁判になると、裁判官は「有罪か無罪か」「有罪であればどの程度の刑罰が妥当なのか」を判断して判決を言い渡します。
    裁判では裁判官が、検察官と被告人および弁護人の双方の立場からの主張を聞いて証拠などから判断していきます。ケースによっては、判決が出るまでに1年以上の長期に亘ることもあります。
    リフォーム詐欺で詐欺罪の有罪になれば、懲役の実刑判決または執行猶予付き判決が言い渡されることになります。

3、リフォーム詐欺の時効は何年?

リフォーム詐欺が詐欺罪に該当する場合には、刑罰などを受ける刑事上の責任と損害賠償をする民事上の責任が生じます。
しかし、刑事上または民事上の責任については、それぞれ時効が完成していれば責任を負う義務はなくなります。

  1. (1)刑事上の時効は?

    詐欺罪は、犯罪行為が終わったときから7年で刑事上の時効といえる公訴時効が完成します。
    具体的にはリフォーム詐欺を行った場合でも、詐欺行為から7年が経過すると検察官はその行為については起訴することができなくなります。

  2. (2)民事上の時効は?

    詐欺を行った場合には、加害者には損害賠償請求をされることがあります。
    ただしこの損害賠償責任は、被害者が損害および加害者を知ったときから3年で時効が完成します。そして時効が完成すれば、加害者は被害者に損害賠償を支払う法的な義務はなくなります。

4、早期に弁護士に相談するメリットとは

詐欺罪の容疑で逮捕された場合には、いかに早期に弁護士に相談することができたかがその後の結果を大きく左右します。早期に弁護士に相談するメリットには、主に次のようなものがあります。

  1. (1)逮捕直後からアドバイスを受けられる

    逮捕直後は、通常ご家族の方であっても面会することはできません。しかし、弁護士であれば逮捕直後から面会することができます。弁護士は、取り調べに対する適切な対応方法やポイントをアドバイスしたり、事件の今後の見通しを説明することができます。

  2. (2)勾留阻止や不起訴に向けた十分な弁護を受けられる

    勾留が決定すれば、逮捕から最大23日間身柄を拘束されることになります。身柄の拘束が長引けば、職場や家庭などへの社会的な影響もそれだけ大きくなります。そういった社会的な影響を最小限にするためにも、弁護士は勾留を阻止するよう働きかけを行います。
    また、勾留が決定した場合には、可能な限り起訴されないように働きかけたり、そのための証拠を収集するなど働きかけます。
    早期に弁護士に相談すれば、それだけ勾留阻止や不起訴に向けた弁護活動にかける時間を確保できるので十分な弁護を受けられることにつながります。

  3. (3)被害者との示談成立の可能性が高まる

    リフォーム詐欺で多数の被害者がいるような場合には、多くの被害者と示談を行わなければなりません。
    被害者との示談が成立しているかどうかは不起訴や減刑の判断に大きな影響を与えるので、できるだけ早くそれぞれの被害者と示談を成立させる必要があります。
    早期から弁護士に相談していた場合には、被害者との示談をその分早期に進めることができるのです。

  4. (4)減刑や執行猶予獲得に向けた弁護を受けられる

    起訴されてしまった場合には、減刑や執行猶予つき判決を得られるよう弁護活動を行います。示談が成立していないのであれば、示談成立に向けて動き、減刑を目指していきます。

    早期に弁護士に相談すれば、それだけさまざまな弁護活動に時間をかけられるので結果として減刑や執行猶予獲得の可能性が高まるといえるでしょう。

5、まとめ

本コラムでは、リフォーム詐欺で逮捕された場合の量刑や逮捕後の流れを解説していきました。
リフォーム詐欺で逮捕されるおそれがある場合や逮捕された場合には、一刻も早く弁護士に相談することが重要です。
ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士は、ご相談者とともに最善の道を考え弁護活動に尽力いたします。ぜひご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています