子どもが詐欺で逮捕! 刑罰・逮捕後の流れ・やるべき対策とは

2020年10月21日
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子どもが詐欺で逮捕! 刑罰・逮捕後の流れ・やるべき対策とは

詐欺で逮捕されたという報道は、日常的に耳にするニュースです。岸和田市でも、令和元年の詐欺の認知件数は70件にのぼりました。これは平成30年の65件から微増しており、詐欺事件は決して他人ごとではない身近な事件であるということが伺えます。

もし、自分の子どもが詐欺で逮捕されたとなったら、家族の動揺や不安は計り知れないものになるでしょう。まさかという驚きと同時に、少しでも刑を軽くできないものか、子どもの将来はどうなるのか、いったい誰に相談したらよいのかなど、さまざまな心配が頭をよぎるのではないでしょうか。

本コラムでは、詐欺で逮捕された場合の刑罰やその後の流れ、家族にできることは何かについてベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が解説します。

1、詐欺の傾向と特殊詐欺

  1. (1)詐欺とはどのような行為か

    詐欺とは、人を欺いて財産または経済的利益をだまし取る行為(刑法第246条)です。
    結婚詐欺や保険金詐欺などは昔からある手口ですが、インターネットの普及に伴い、ワンクリック詐欺やフィッシング詐欺などの被害も増加傾向にあります。

  2. (2)特殊詐欺(オレオレ詐欺)

    詐欺の中でも、近年増えつつあるのが特殊詐欺と呼ばれるものです。特殊詐欺とは、面識のない不特定多数の相手に対して、電話やインターネットなどの通信手段を用いて架空請求や還付金詐欺などを行い、金銭をだまし取る行為です。

    中でも特に有名なのはオレオレ詐欺でしょう。オレオレ詐欺は、親族や警察官、弁護士などになりすまして電話をかけ、トラブルの示談金や会社の横領金を補てんするなどの名目で金銭をだまし取る行為で、高齢者の被害が多いのが特徴です。

    犯行手口は、リーダーを中心に、実際に電話をかけて相手をだます役や預金口座から現金を引き出す役、被害者から現金を受け取る役などの役割分担を行い、巧妙に相手をだまします。

    また、現金を受け取る「受け子」は、役割が単純なため、犯罪と知らずに軽いアルバイト感覚で引き受けてしまうケースもあります。受け子の募集はSNSなどで拡散されやすく、依頼者がどんな人物か知らずに加担してしまうなど、若者が巻き込まれやすい犯罪といえるでしょう。

  3. (3)その他の特殊詐欺(架空料金請求詐欺・還付金詐欺など)

    他には、郵便やインターネットなどを利用して架空の料金を請求し、現金をだまし取る架空料金請求詐欺、低金利や無担保を謳った案内を送り付け、実際は融資しないけれども融資をするふりをして保証金や信用調査などの名目で現金をだまし取る融資保証金詐欺も特殊詐欺のひとつです。

    また、税務署や市町村職員などになりすまし、税金の還付に必要な手続きを装ってATMを操作させて現金を振り込ませる還付金詐欺も同じく特殊詐欺にあたります。

    平成24年からは、金融商品等取引名目の詐欺、ギャンブル必勝情報提供名目の詐欺、異性との交際あっせん名目の詐欺なども特殊詐欺に含まれました。

2、詐欺の刑罰と時効

詐欺罪の刑罰は、10年以下の懲役です。罰金刑がないため、もし執行猶予が付かなければ刑務所に収監されるおそれがあります。また、損害額が大きい場合、複数回詐欺を行っていた場合、組織的に詐欺行為を働いていた場合などは、刑罰が加重される可能性もあります。

なお、詐欺罪の刑法上の時効(公訴時効)は7年間です。犯罪行為が完了した時から7年経過すれば、検察官は刑事裁判を起こせなくなります。

また、民事上の損害賠償請求の時効は、被害者が詐欺の事実と加害者を知ってから3年、詐欺の事実と加害者の特定ができていなくても詐欺の発生から20年で時効となります。

3、詐欺で逮捕された後の流れ

では、逮捕されてから起訴・不起訴が判断されるまでの流れを確認していきましょう。

  1. (1)逮捕

    逮捕後は、最長48時間、警察からの取り調べを受けることになります。証拠が不十分であったり、嫌疑が晴れれば釈放となりますが、さらに取り調べが必要と判断されると検察官に身柄を送致されます。

  2. (2)送致

    警察での取り調べが終わると、検察官に被疑者の身柄が移されます。これを送致といい、送致後24時間以内に検察官による捜査が行われます。
    逮捕から72時間は、被疑者は家族と会うことも、自ら外部に連絡を取ることもできません。唯一接見を許されるのは弁護士のみとされています。

    なお、この間に検察官は、勾留が必要か否かについて判断しなければなりません。勾留とは、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐために留置場などで身柄を拘束することで、検察官は勾留が必要だと判断した場合、裁判所に勾留請求を行います。

  3. (3)勾留

    勾留の期間は原則として10日間ですが、裁判所が認めた場合にはさらに10日間延長され、最大で20日間に及ぶこともあります。つまり逮捕後、勾留延長まで合わせると最大23日間も身柄を拘束される可能性があるということです。

  4. (4)起訴か不起訴かの判断

    勾留期間中に、検察官は被疑者を起訴するか、あるいは不起訴にするか判断します。起訴された場合、9割以上の高い確率で有罪判決を受ける可能性があります。不起訴の場合は前科がつかず釈放されるため、弁護士からの検察官への適切な働きかけや被害者との示談交渉は、大変重要になります。

4、示談成立を目指すには

被害者のいる犯罪では示談の成立は重要な意味を持ちます。示談が成立しているということは、加害者と被害者の間では解決したという意味になるため、検察官や裁判官の判断に大きく影響します。

具体的には、示談が成立している場合、検察官が不起訴の判断をしたり、裁判官が執行猶予付きの判決を下したりという可能性が高くなるということです。

そのため、できる限り早い段階で示談成立できるよう、適切な方法で示談交渉を進める必要があります。

5、「早期に弁護士に相談する」が家族にできる対策

子どもが詐欺で逮捕された場合、家族にできる最善の方法は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することです。逮捕から起訴・不起訴までの流れの中で、弁護士にしかできない行為が多々あります。

まず、逮捕後の72時間、被疑者に接見を許されるのは弁護士のみです。逮捕直後は誰にも連絡できず、不安とストレスの中で警察や検察の取り調べを受けなければなりません。早期に弁護士が接見することで、取り調べの対応に適切なアドバイスをし、取り調べの流れを説明するなど、本人の気持ちを落ち着けストレスを軽減するよう働きかけます。

また、最大で20日間に及ぶこともある勾留を回避するためには、検察が勾留請求しないための準備が必要です。勾留を回避するための必要書類を短時間で作成し、検察官に働きかけるのは一般の方では非常にハードルが高い行為です。

さらに、不起訴や執行猶予付きの判決を求めるためには、被害者との示談成立が不可欠です。被疑者の家族がいくら努力しても、交渉にさえ応じてもらえないことも考えられます。第三者である弁護士に依頼して示談交渉を進めることが、示談成立への近道です。

6、まとめ

今回は子どもが詐欺で逮捕された場合のその後の流れや、刑罰についてお伝えしました。また、示談の重要性や弁護士に依頼することのメリットもご理解いただけたと思います。逮捕によるさまざまなダメージをより少なく抑え、1日も早い社会復帰につながるよう、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが大切です。

詐欺による逮捕でお困りの際は、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスまでお早めにご連絡ください。岸和田オフィスの弁護士が力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています