年収600万円の夫に養育費を請求したい! 相場はいくら?
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大阪府が公表したデータによると、令和元年に岸和田市で離婚した夫婦は388組でした。1日1組以上が離婚しているということになりますので、相応の離婚件数があるといえるでしょう。
もし離婚となった際、子どもがいるのであれば、気になるのが養育費ではないでしょうか。いったいどのくらい支払ってもらえるのか、きちんと子どもが成人するまで払い続けてもらうにはどうすればよいのか、事前に知識を持って対処することが重要です。
そこで今回は、夫の年収が600万円のケースで子どもの養育費の相場がいくらになるのか、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が解説します。
1、養育費とは
養育費は、未成年の子どもの監護や教育のために、親が支払うべきお金です。養育費を支払う側を“支払い義務者”、養育費をもらう側を“権利者”といいます。
離婚や未婚などのさまざまな事情により、子どもと同居できなくなったとしても、民法上、子どもを養う扶養義務はなくなりません。この扶養義務を果たすために、必要なのが養育費です。
扶養義務は、自分と同等の生活を子どもにも維持することが求められます。そのため、収入が低くても、収入状況に応じて養育費は払わねばなりません。
2、年収600万円に対する養育費の相場の算出方法
養育費には相手の収入に応じた相場があります。計算式や相場の算定方法を確認しましょう。
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(1)養育費相場の基本的な考え方
養育費は、基本的に両親それぞれの収入(年収)に応じて計算されます。支払う側の収入が高い場合には支払金額が上がり、逆に、受け取る側の収入が高ければ支払金額が下がります。
また、子どもの人数や年齢によっても相場が変わります。子どもの人数が多い、子どもの年齢が15歳から19歳であり進学する場合などは、金額が上がります。 -
(2)養育費の計算方法
養育費を計算するときには、
- ①両親の基礎収入
- ②子どもの生活費指数
- ③子どもの生活費
を基に算定します。
ひとつ目の“基礎収入”とは、総収入から税金や保険料、住居費などの経費を引いた金額をいいます。
基礎収入を計算するときには、裁判所の算定表に基づいて「総収入×基礎収入割合」の式で算出されます。基礎収入割合は最高裁判所のホームページで確認することができます。
次に“子どもの生活費指数”を割り出します。生活費指数とは、厚生労働省の統計に基づき、生活にどのくらいのお金がかかるのかを客観的に見積もった指数です。大人を100とすると、子どもが14歳以下で62、15歳以上であれば85として評価されます。
基礎収入と生活費指数が明らかになったら、“子どもの生活費”を計算します。計算式は以下のとおりです。子どもの生活費=支払う親の基礎収入×(子どもの生活費指数÷(支払う親の生活費指数+子どもの生活費指数)
上記で算出した数字を使い、以下の計算式にあてはめて養育費を計算します。
1年分の養育費=子どもの生活費×(支払う親の基礎収入÷両親の基礎収入の合計額)
この金額を12で割れば、1か月分の養育費の金額を算定できます。
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(3)養育費の相場は“養育費算定表”で確認できる
上記のとおり、養育費の計算方法は非常に複雑です。個別に計算するのは手間がかかる上、算出を間違うリスクもあるでしょう。
そこで裁判所は、子どもの数や年齢によって、養育費の相場を算定するための“養育費算定表”を用意しています。なお、養育費算定表では、支払い義務者が会社勤務等などの給与所得者か自営業者かによって異なりますので注意しましょう。
(参考:平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について) -
(4)年収が600万円(給与所得者)の養育費の目安
支払い義務者(給与所得者)で年収が600万円、権利者の年収が100万円の場合、養育費の金額は以下のとおりです。
- 子どもが10歳……養育費の相場の金額は、月額6~8万円程度
- 子どもが16歳……養育費の相場の金額は、月額8~10万円程度
- 子どもが10歳と12歳……養育費の相場の金額は、月額8~10万円程度
- 子どもが14歳と16歳……養育費の相場の金額は、月額10~12万円程度
3、養育費を確実に受け取る方法
成人するまでの間、養育費は子どもの権利です。しかし現実には養育費が払われないケースが少なくありません。
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(1)養育費の受給率の現状
厚生労働省が公表した、平成28年度「全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子家庭で養育費を受け取っている割合は24.3%、母親がひとり親となった場合には、4人に1人程度しか相手から養育費を受け取れていない状況です。また、父子家庭で養育費を受け取っている割合はわずか3.2%です。
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(2)確実に養育費を払わせるには
こういった状況の中で、養育費を確実に受け取るにはどうすればよいのでしょうか?
まずは養育費の取り決めをすることが何より重要です。しかし、厚生労働省の資料をみると、養育費の取り決め率は42.9%です(母子家庭の場合)。
また、相手と養育費支払いについて取り決めを行ったら、合意した内容をきちんと書面化することも重要です。養育費支払いに関する合意書は、公正証書にしましょう。公正証書とは、法律の専門家である公証人が作成する公文書で、法的効力を持ちます。
さらに、養育費の取り決めは強制執行認諾文言のある公正証書にしておくと、後に相手が支払わなくなったときに公正証書に基づく差し押えが可能となります。
養育費を最後まで払ってもらうために公正証書は非常に重要です。また適正に作成しなければ、せっかくの効果が無効となるリスクもあります。離婚問題の実績がある弁護士に相談して作成するとより安心でしょう。 -
(3)公正証書の作成方法
公正証書は、全国どこの公証役場でも作成できます。最寄りの公証役場へ申し込みをして、作成したい公正証書の内容を伝えましょう。公正証書作成の際には、現金で費用を払う必要があるので、事前に金額を確認しておきましょう。
4、養育費の相談は弁護士へ
養育費に関して悩みや迷いがあれば、弁護士に相談しましょう。弁護士は、適切な養育費の金額を算出します。算定表やシミュレーションはあくまで概算となるため、悩んだら相談することをおすすめします。
また、養育費や財産分与など離婚にまつわるさまざまな交渉ごとも弁護士に一任できるので、精神的な負担からも解放されるでしょう。
さらに、相手ともめてしまったら、調停や差し押さえをしなければならない状況もありえます。そんなときには弁護士に依頼すると心強いですし、手間もかからずスムーズに進められるでしょう。
5、まとめ
今回は600万円の年収に対していくらの養育費が相場か、その算出方法について解説しました。養育費は子どもが成長していくために必要なお金ですが、母子家庭では4人に1人しか受給できていないという厳しい現実もあります。養育費の不払いを防ぐには、離婚時における公正証書の作成やその後の対応が重要です。
養育費の算出や公正証書の作成で悩んだら、離婚トラブルの解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスにご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています