モラハラ夫(妻)と離婚したい! 離婚に必要な知識を岸和田の弁護士が解説
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配偶者のモラハラを理由に離婚したい……。
モラハラは精神的ダメージの蓄積が大きく、自分ではどうすることもできずに悩む方が大勢いらっしゃいます。岸和田市にお住まいの方の中でもモラハラでつらい思いをしている方がいるかもしれません。
配偶者のモラハラを理由にした離婚は認められるのでしょうか。精神的に強いダメージを受けてしまい、離婚を切り出す気力さえも持てないようなケースでは離婚が可能なのでしょうか。
今回は、モラハラ被害に遭っている方が離婚するために必要な知識を弁護士が解説します。
1、モラハラとは
モラハラとは正式には「モラルハラスメント」と言い、フランスの精神科医が提唱した俗語です。暴言、侮辱、嫌がらせなどの精神的暴力、精神的虐待のことを指し、家庭内や恋人同士、職場などの狭い場所でしばしば問題となります。 特に家庭内でのモラハラは夫婦や親子の問題として周囲の介入や理解を得られないことが多く、被害に遭っている人が誰にも相談できず苦しむことが多々あります。近年では、離婚原因の中でも常にモラハラが上位に入っており、モラハラによる離婚が珍しくない時代になっています。
2、モラハラを理由に離婚できる?
結論から言えば、モラハラを理由に離婚することは可能です。しかし、「モラハラの事実があれば確実に離婚できる」というわけではありません。
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(1)法律で認められた離婚事由とは
原則、結婚したときと同様、離婚は、あなたひとりの意志だけでは離婚できません。しかし、法律で定められた離婚事由に該当する状態であれば、配偶者が合意しなくても離婚が認められるのです。民法では、次の5つを法定離婚事由としています。
- ①不貞行為
- ②悪意の遺棄
- ③3年以上の生死不明
- ④配偶者が回復の見込みのない強度の精神病
- ⑤その他婚姻を継続しがたい重大な理由
モラハラは①~④のいずれにも該当しませんので、⑤の「その他婚姻を継続しがたい重大な理由」に該当するか否かが問題となります。
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(2)モラハラで離婚できるケース、できないケース
モラハラで離婚するためには「程度の問題」が大きく影響します。たとえば次のような言動は一般的に見ても耐えがたいと判断され、離婚が認められる可能性があります。
- 「死ね」「クズ」など人格を否定する言葉を継続して投げかけられる
- 頻繁に反省文を書かされる、何時間も説教される
- 24時間の行動について事細かく指示される、報告を求められる
- 正当な理由なく外出を許可してもらえない、働かせてもらえない
- 不機嫌を常にぶつけられたり、無視を長期間続けられたりするなどの状態が続いている
一方で、配偶者がごくたまにヒステリーになる、食事や掃除の仕方にときどき文句を言うといった程度では、モラハラとは認められにくいでしょう。暴言に対してあなた自身が応戦できている場合も、一方的に被害を受けているわけではないため、モラハラとは様態が異なります。
ただし、性格の不一致など別の視点から「婚姻を継続しがたい重大な理由」が認められる可能性はあります。この場合は双方に原因があると考えられますので、慰謝料を請求することは難しいでしょう。
3、モラハラによる離婚が難しいのはなぜ?
モラハラは離婚事由になり得るにもかかわらず、実際に離婚するまでには時間がかかることが多くなっています。なぜなら、モラハラには他の離婚原因とは異なる特徴があるからです。
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(1)被害者の恐怖心、消極性
モラハラの被害者の多くは「離婚を切り出したらまたひどいことを言われるだろう」といった恐怖心が刻み込まれています。そのため、なおさら離婚に消極的になってしまうのです。度重なるモラハラで自己否定感が強くなり「どうせ自分には何もできない」と行動に移せないことも多いことも特徴的でしょう。
親や友人に相談することすらできず、何もしないで時間ばかりが経過します。一種の洗脳を受けているような状態です。 -
(2)協議離婚の成立が困難
日本では離婚の9割近くが、両者の話し合いによる「協議離婚」で決着しています。しかし、モラハラの場合は、次のような理由で協議離婚が難しい実情があります。
- 離婚を切り出しても配偶者が激高して話にならない
- 頭がよく弁の立つ方が多く、言いくるめられてしまう被害者も多い
- モラハラ加害者は自分の非を認めない傾向があり、離婚を受け入れない
- モラハラ加害者に話し合いを求めることで言葉による暴力が強まってしまう
協議離婚ができないとなると、調停や裁判で認められるために証拠を集めなくてはなりません。離婚のハードルはかなり高くなるでしょう。
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(3)周囲の人が気づきにくい
モラハラによって個人の精神を苦しめるような人間は狡猾な性格の持ち主です。周囲からは悪い人には見えないことが多いため、夫婦以外の第三者がモラハラ被害に気づくことができません。勇気を振り絞って周囲に助けを求めても、「そんな人に見えないよ」「考え過ぎだろう」などと一蹴されてしまいます。
調停や裁判においても、調停委員や裁判官からすれば「真面目な好人物」に見えてしまうことがあり、離婚が認められにくい傾向があるようです。やはり、録音などの確かな証拠が必要であると考えられます。
4、離婚成立のためにモラハラ被害者ができること
モラハラ被害に遭っていると行動を起こせないことが多いものです。しかし、勇気を振り絞ってまずは1歩、前に進みましょう。モラハラ被害者が、現状を脱するためにできることを紹介します。
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(1)モラハラの証拠を集めておく
モラハラは身体的な暴力と違い、外傷などのわかりやすい証拠がなく、行為の悪質さや苦痛の度合いは他人から見て簡単に判断できるものではありません。法律上の基準があるわけでもないため、離婚のためにはモラハラの証拠を複数積み上げて訴えていくことが必要です。
モラハラの証拠になり得るのは次のようなものです。- 暴言を浴びせられている音声、画像
- 侮辱された内容のメールやLINEのスクリーンショットや写真など
- 強制的に書かされた反省文のコピー
- 毎日モラハラを受けていることがわかる日記
- 精神的苦痛によって通院やカウンセリングに行った際の記録
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(2)国や自治体の無料相談窓口を利用する
国や自治体が設置している無料相談窓口に相談することも方法です。配偶者のことをまったく知らない第三者だからこそ、配偶者のひとあたりのよさなどにだまされることなく客観的に相談に乗ってくれます。近年はDVだけでなくモラハラ被害の相談も積極的に受け付けてくれることが多いため、遠慮せずに相談してみましょう。
「モラハラ 相談 あなたがお住まいの地域名」などで検索すると、お住まいの自治体の相談窓口がヒットするはずです。内閣府男女共同参画局でも、「婦人相談所」「配偶者暴力相談支援センター」などの無料相談窓口があります。「DV相談ナビ」に電話すると、発信地情報などから最寄りの相談窓口に電話が転送されます。相談先がわからない方は、DV相談ナビへまず電話をして、相談してみるのもよいかもしれません。 -
(3)別居して自分を取り戻す
離婚の前に別居することも方法のひとつです。ひとりに戻ることで精神的に安定し、離婚に向けた勇気が湧いてくることがあります。自立して生活することで配偶者に対する依存心も薄れ、離婚が成立した後の生活にスムーズに移行することができるでしょう。
ひとり暮らしをする資金がなければ、少しの間でも家族や友人を頼ることも検討しましょう。モラハラをする配偶者が電話やメールで「戻ってこなければどうなるかわかっているな」など脅してくれば、それも離婚のための証拠になります。モラハラ加害者の声や文章を見聞きしたくない気持ちはわかりますが、文章であれば保存し、音声であれば録音しておきましょう。
ただし、今後の離婚を有利に進めるためにも、別居前にもできる限りの証拠を集めておく方がよいでしょう。 -
(4)弁護士に相談する
一般の方では法知識が不足しているほか、モラハラ被害者は自分を責める傾向にあるため、相手が悪いことを論理的に訴えるのは相当に難しいものがあります。離婚成立には弁護士の力が必要になるでしょう。
弁護士は証拠集めや離婚の進め方などのアドバイスを行うほか、協議離婚の交渉、調停や裁判、慰謝料請求の代理人となります。モラハラ加害者と直接会う必要がなく、法律の専門家が味方してくれることによって、精神的に大きな安心材料となるのではないでしょうか。
とはいえ、モラハラ被害者の妻は、働きたくても働かせてもらえない、金銭はすべて夫が管理しているなどで、自由になるお金がないことがあります。そのときは、法テラスを利用することもひとつの手です。初回は無料で相談を受け付けている弁護士事務所も多いため、まずは相談してみることをおすすめします。
5、まとめ
今回はモラハラを理由に離婚するために必要なことを解説しました。モラハラの被害に遭うと、暴言や嫌がらせによるダメージによって、いつのまにか精神的な支配を受けます。結果、自らが悪いと思い込んだり、逃れられない状況になってしまったりすることは珍しくありません。配偶者の言動がモラハラに当たると感じたら、できるだけ早い段階で相談先を見つけることが肝心です。
離婚を希望される場合、あなたひとりの力だけで進めていくことは非常に難しい面があります。したがって、まずは弁護士に相談されることが最善策です。
ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスでは、モラハラ被害にまつわるトラブルや、離婚問題に対応した実績が豊富な弁護士がみなさんを強力にサポートします。まずは一度ご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています