離婚について弁護士に相談する際、事前に準備しておくべきこととは?
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平成29年中に離婚した夫婦は、大阪府全体では16931組、岸和田市では425組であったことが人口動態調査で明らかになっています。
しかしこういった数字には表れていなくても、潜在的に離婚を考えている方も多いものでしょう。
離婚に至るまでには、さまざまな問題が生じます。問題を一つひとつ解決していくためには、弁護士に頼ることもひとつの選択肢となりえます。
弁護士に相談する場合には、限られた時間内で効率よく説明しつつ、適切なアドバイスを得ることが大切です。
そのためには、弁護士相談にむけた準備が欠かせません。
本コラムでは、離婚について弁護士に相談する際、事前に準備しておいたほうが良いことやその理由についてベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が解説していきます。
1、弁護士への相談の時間には限りがある!
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(1)初回相談料が無料の法律事務所も増えている
弁護士の法律相談には、料金がかかる場合もあるものの、無料で相談できるケースも増えています。具体的には、法律事務所などで行われる初回の無料相談、法テラスでの無料相談、市区町村が行う弁護士会の無料相談などがあります。
弁護士に無料相談する場合、その相談時間は30分~1時間程度と時間が限られています。
そのため事前の準備をしっかりと行い、相談時間を最大限有意義なものにしていく必要があります。
無料相談の具体的な時間については、法律事務所や法テラスのホームページで確認したり、予約の電話をするときに担当者に確認するなどの方法で正確に把握しておくと良いでしょう。 -
(2)離婚相談を弁護士にする際に準備しておきたいこと
離婚相談を弁護士にする際に準備しておきたいこと
- 離婚原因を明確にしておく
- 夫婦の財産状況を明確にしておく
- 相談内容を明確にしておく
それぞれの内容については、次の章から詳しくご説明します。
2、離婚原因を明確にしておくことのメリットとは?
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(1)離婚原因によっては法的に離婚できない場合も!?
離婚について当事者同士で協議がまとまらなかった場合は、調停を行い最終的には裁判で離婚の可否を判断してもらうことになります。
裁判では、法律上の離婚原因があるかどうかを証拠などから判断して判決が言い渡されます。
また実際には裁判にはならなかったとしても、法律上の離婚原因を示す証拠があれば裁判で認められる可能性が高まりますので、相手方は離婚を受け入れざるを得ない状況になります。
離婚が本当に実現できるのか、その見通しを弁護士が立てるためにもできるだけ証拠もそろえて、離婚原因を明確にしておくことが重要になります。 -
(2)法的に認められる離婚原因は5つ
離婚裁判では、裁判所が民法に定められた離婚原因があることを認めた場合にしか離婚することはできません。
民法では、次の5つを法律上の離婚原因としています。
①配偶者に不貞行為があったとき
不貞行為とは、夫婦の一方が他人と性的な関係をもつことをいいます。
不貞行為があれば、慰謝料を請求できる可能性もあります。
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦が負うべき義務に反して自分勝手な生活をすることをいいます。「勝手に家を出ていってしまった」「無理やり追い出された」「生活費を渡してくれない」といった場合に、悪意の遺棄に該当する可能性があります。
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
「3年以上明らかでないとき」とは、3年以上生存も死亡も明らかでない場合をいいます。居場所は分からなくても生存が確認できている場合は該当しませんので注意してください。
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
精神的障害の重さや回復の見込みについては、裁判所がケースごとに判断することになります。
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
「婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」とは、婚姻関係が深刻に破綻してしまい回復の見込みがない場合をいいます。
具体的には、DV(ドメスティックバイオレンス)がある場合や長期にわたって別居している場合などに離婚原因として主張されることがあります。 -
(3)離婚原因によっては慰謝料請求できることもある
離婚原因が不貞行為によるものである場合は、配偶者だけでなく不貞の相手にも慰謝料を請求できる可能性があります。
不貞行為についての証拠や不貞の相手の情報なども、できる限り収集してそろえておくとよいでしょう。そうすれば弁護士への相談時、「このような証拠がある」と具体的に見せることができますし、それらが法的に証拠として有効か無効かといった見解も得ることができます。
3、夫婦の財産状況を明確にしておくことのメリットとは?
夫婦の財産状況を明確にしておけば、離婚の際の財産分与や養育費などの金額の目安を算出できます。財産分与などの金額が算出できれば離婚後の生活を具体的にイメージできるので、離婚の保留または決断の判断材料にもなります。
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(1)財産分与の見通しが立つ
夫婦が婚姻期間中に築いた財産は、離婚に際して貢献度などに応じて分配されることになります。これを財産分与といいます。
財産分与の対象となる財産には、原則として不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく住宅ローンなどのマイナスの財産も含まれます。
したがってプラスの財産とマイナスの財産の双方について、できるだけ正確に把握しておく必要があります。
なお婚姻前に夫婦それぞれが築いた財産は、財産分与の対象にはなりません。 -
(2)収入を把握しておくことで養育費の目安がわかる
お子さんがいる場合には、離婚後の養育費が問題になります。
また別居を考えている場合には、離婚までの生活費である婚姻費用が問題になります。
これらの養育費や婚姻費用などを算出するためには、夫婦それぞれの収入を明確にしておく必要があります。
そのため配偶者の収入を示す給与明細書などの資料をそろえ、差し押さえなどの強制執行に備えて給与口座も把握しておくとよいでしょう。
4、相談内容を明確にしておくことのメリットとは?
離婚に関する弁護士相談に向けた準備として、相談内容を明確にしておくことも重要です。
「離婚を成立させるために相談したい」「夫(妻)の不倫相手に慰謝料を請求したいが、どうすれば良いのか」「財産分与や養育費の金額を知りたい」「子どもの親権を獲得したい」など、離婚相談しようと思い至るきっかけや理由は多岐にわたります。
弁護士に相談しようと思う内容を書きとめ、さらにご自身で優先順位をつけておけば、相談漏れも防げますし、相談時間内に弁護士から適切なアドバイスを得ることもできるでしょう。
5、まとめ
本コラムでは、離婚について弁護士に相談する際、事前に準備しておいたほうが良いことやその理由について解説していきました。
離婚に関して弁護士に相談する場合には、事前準備として「離婚原因」や「財産状況」や「相談内容」を明確にしておくことが重要なポイントになります。
限られた相談時間ですが、弁護士が解決の方向性を示すことのできる法的な問題を中心に事前準備した資料やメモなどを見ながら説明することで有意義な相談にすることができます。
また初回相談を通じて、相談した弁護士との相性を見極めることができます。その後、正式に依頼するかどうかといった判断をするためにも、限られた時間を有効活用するべきでしょう。
ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスでは、事前予約制の無料相談を実施しております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています