モラハラ夫と離婚したい! 離婚の準備や手続きについて、岸和田市の弁護士が解説
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岸和田市の発表によると平成30年に、岸和田市内で離婚件数は401件、婚姻件数は867件でした。それに対して、全国の離婚件数は21万2262件、婚姻件数は60万6866件と、岸和田市の離婚率の高さが伺えます。
離婚原因の中でも近年増加しているのが、モラハラによる離婚です。モラハラ夫との離婚は、通常の離婚と比較すると、話し合いがスムーズに進まない、そもそも離婚を切り出すことができないものです。実際に離婚を切り出せないでいる、潜在的に「離婚したい」と考えている妻が多いと考えられます。
そこで、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が、モラハラ夫との離婚のすべてについて、丁寧に解説します。夫のモラハラ行為で悩んでいる方、モラハラ夫と離婚するために準備したいという方はぜひ読み進めてください。
1、モラハラ夫とは離婚しづらい
まずは、モラハラ夫と離婚しづらい理由を説明します。モラハラ夫と離婚できない原因は妻にあるのではなく、モラハラ夫と構築した家庭環境などにありますので、原因を考えた上で離婚を検討しましょう。
・モラハラ夫に離婚の意思を伝えることができない
モラハラ夫の多くは、妻を見下す、妻を支配下に置こうとします。そして、実際に結婚してからずっと支配下に置いていたことでしょう。そのような環境が長年続き、虐げられた妻は夫の主義主張に反論することができません。自分の意見を述べるときも、夫の顔色を窺いながら恐る恐る述べていたはずです。
そんな状態で妻から直接離婚の意思を伝えることはほぼ不可能です。
・夫の収入がなければ生活できない
離婚にためらう妻の多くが、「離婚後の生活」について不安を抱えています。専業主婦やパート主婦など、フルタイムで働いていない、自身の収入がない、などの場合は離婚すると同時に生活ができなくなってしまいます。かといって、それを理由にモラハラを受け続ける必要はありません。いち早く弁護士や家族に相談して、今後の生活の見通しを立てながら離婚を進めていくとよいでしょう。
・子どもの「父親」としてのモラハラ夫について考えてしまう
モラハラ夫は、妻だけにモラハラ行為をする場合と、子どもと妻の両方にモラハラ行為をするケースの2パターンがあります。
妻だけにモラハラをしている場合、「子どもにとってはいい父親だから」と離婚を踏みとどまる方が多いですが、モラハラ夫は、いつ子どもに牙をむくかはわかりません。
子どもが成長して自分の意志を持ち行動するようになると、モラハラをする可能性があります。また、母親が父親にモラハラされている状態は、子どもが健全に育つ最適な家庭環境とは言えません。子どもにとって、母親の笑顔は一番の栄養です。
父親が母親をいじめる異常な家庭環境で育つ子どもと、母親がにこにこ笑顔で暮らす明るい家庭、どちらが子どもにとってより良い環境だと思いますか?母親が笑顔で暮らす家庭のほうが、子どもにとっては過ごしやすいものだと考えます。
2、モラハラ夫と離婚するための準備
モラハラ夫との離婚を決意した場合、「弁護士に相談すること」、「モラハラ行為の証拠を集めること」、「離婚後の生活を計画立てること」の3つの準備を同時並行で進めていく必要があります。
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(1)モラハラ夫と離婚するためには弁護士への相談は必須
モラハラ夫と離婚して新たな生活を歩み出すためには、弁護士への相談が必要不可欠です。なぜならば、モラハラを受け続けてきた妻と夫では、離婚の話し合いを冷静に進めることができないからです。また、さらに弁護士に依頼することで「慰謝料」、「財産分与」、「養育費」という離婚の際に受け取るべきお金をしっかり受け取ることができます。
離婚後の生活が不安な方、モラハラ行為を許せない方にとっては、慰謝料などのお金は非常に重要です。
当人同士で話し合っても、離婚する意思のないモラハラ夫にこれらのお金を請求することはほぼ不可能なので、弁護士に相談した上で、きちんと請求しましょう。 -
(2)夫のモラハラ行為の証拠を集める
モラハラ夫と離婚する場合、離婚の慰謝料を請求可能です。慰謝料を請求するためには、「モラハラ行為の証拠」が必須ですので、モラハラ行為の最中の音声データ、録画データなどを収集しましょう。
離婚の意思を察知される前に集めることが大切です。音声や動画などの証拠が難しい場合は、日記やメモ、手紙やメールなどでも構いません。夫のモラハラで心身に不調をきたしている場合、暴力行為もある場合は病院で意思の診察を受けて、診断書を取得しましょう。
弁護士に相談している場合は、モラハラの証拠集めについても個別の状況に合わせた適切なアドバイスを受けることができます。 -
(3)離婚後の生活の計画を立てる
離婚する前に、離婚後の収入源、住居、子どもの保育園や小学校などを決めておかなければなりません。
・離婚後の収入源
現在、フルタイムで働いている方は、離婚後の生活について大きく心配することはありません。しかし、パートや専業主婦だった場合は離婚後の収入を確保しなければなりません。子どもがいる場合は「養育費」と公的なサポートを受け取ることができます。
養育費は子どもの年齢と人数、妻と夫の収入に応じて増減します。公的サポートは、児童扶養手当や児童育成手当などが自治体ごとに定められています。それらの費用を見込んだ上で、生活のためにいくらお金が必要なのかを計算しましょう。
その上で、その収入を得ることができる仕事を探してください。とはいっても、場合によっては、ご自身のパート収入と、養育費、各種手当だけで生活することも不可能ではありませんので、ご安心ください。
・離婚後の住居
離婚後、夫と暮らしていた住居に住む権利を得て暮らし続けるのか、引っ越すのかを検討しなければなりません。現在の住居が、住宅ローンが残っている持ち家の場合は、財産分与で家を受け取り、住宅ローンを支払うことで住み続けることが可能です。ただ、ローンの金額が高額の場合は難しいでしょう。
現在の住居が賃貸住宅の場合は、夫が出て行けば住み続けることができます。しかし、家賃が高額で支払えない場合は引っ越しが必要です。
離婚後に賃貸住宅を借りる場合、ご自身の収入や勤務先がしっかりしていないと審査に通らない可能性がありますので、離婚前から物件を探して早めに申し込んでおきましょう。民間の賃貸ではなく、公営住宅であれば、優先的に安価な家賃で入居可能なので、選択肢に入れておくとよいでしょう。
また、実家に戻ることができるのであれば、実家に頼るのもひとつの手段です。特に子どもがいる場合は、子どもの送り迎えや日常のお世話をサポートしてもらえると助かるはずです。
・子どもの保育園や小学校について
離婚後転居して、すぐに子どもたちを保育園や小学校に通わせられるように手配しておくことも大切です。収入が途切れる期間が長くなると、生活費が足りなくなり、破綻してしまいます。保育園の申し込みは2ヶ月から1ヶ月前までに行う必要があります。小学校は転入とともに通学可能ですが、個別で状況が異なりますので、転校先の小学校に確認しておきましょう。
3、モラハラ夫との離婚手続き
これまでお話しした離婚の準備が整ったら、モラハラ夫に離婚の意志を告げて離婚の話し合いをスタートします。ここでは、モラハラ夫と離婚を進めるための手順を解説します。
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(1)モラハラ夫に離婚の意思を伝えて話し合いをする
まずは、モラハラ夫に離婚したい意思を伝えます。それも無理な場合、すでに弁護士に依頼している場合は弁護士に交渉の全てを任せましょう。
ご自身で交渉する場合は、離婚の意志が固いこと、慰謝料を請求するつもりであることなどを伝えてください。
その段階で、夫が離婚に応じれば「協議離婚」が成立します。離婚の際は、取り決めた慰謝料の金額や養育費の支払い方法、財産分与の分割割合や金額などを書面にしておきましょう。「公正証書」を作成しておくと安心です。 -
(2)話し合いで決着がつかなければ調停を申し立てる
モラハラ夫が離婚に応じない、離婚の条件について合意できないという場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停になった場合は、モラハラ夫と直接話をする必要はありません。調停員を通じてお互いの意見を主張しますので、顔を合わせないまま話し合いが進みます。相手からモラハラを受ける心配はないでしょう。調停で合意できれば調停証書が作成されて、離婚が成立します。調停証書は、裁判の判決と同程度の効力を持ちますので、夫が慰謝料等を支払わなかった場合は、差し押さえなどの手続きが可能です。
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(3)調停がだめなら訴訟へ
調停でも決着がつかなければ、訴訟を申し立てることになります。訴訟では、より証拠が重視されますので、弁護士に相談した上で、より強固な証拠を集めましょう。訴訟になった場合は判決が出るまでに1年以上かかることが少なくありません。その期間同居を続けることは精神的にも苦しいと思いますので、「別居」を検討しましょう。別居中は夫から「婚姻費用」という生活するために必要なお金を受け取り続けることができます。
4、まとめ
モラハラ夫との離婚はさまざまな困難が伴います。しかし、事情によっては慰謝料、子どもがいれば養育費、そして、財産があれば財産分与を受けることができます。
直接話し合うことは難しいと考えられますが、話し合いをしなければこれらのお金をきちんと受け取ることは不可能に近いものです。そこで、弁護士に相談することを強くおすすめします。
モラハラ夫の離婚問題で苦しんでいるのであれば、ひとりで悩まずベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスへまずはご連絡ください。今やるべきこと、できることをお話しした上で、今後の人生をやり直すための一歩を踏み出しましょう。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています