露出で逮捕された場合に問われる罪は? また逮捕後どうなる?

2019年02月13日
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露出で逮捕された場合に問われる罪は? また逮捕後どうなる?

平成30年4月、大阪府岸和田市の浜工業公園内にて、女子中学生が自転車で通行中に、男が下半身を露出する公然わいせつ事件が発生しました。通勤通学の道中や、子どもだけで遊んでいる公園に局部を露出した男性が現れる事態は、しばしば発生しているようです。

家族が露出行為をしてしまい、通報されてしまったかもしれない……。

このような露出行為で逮捕された場合、どのような罪に問われるのでしょうか。家族としてはどのような対処ができるのかを、ご存じですか。ここでは露出によって問われる罪や、逮捕後のプロセスについて、岸和田オフィスの弁護士が解説します。

1、露出行為はどのような罪?

露出行為は、行った状況や場所によって、問われる罪が異なります。

  1. (1)迷惑防止条例違反

    露出行為は、「迷惑行為」のひとつとして、各都道府県によって定められている迷惑防止条例において、取り締まりの対象となっています。大阪府における正式名称は「大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」です。

    具体的には、同条例の第6条第1項第4号において、「公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること」を禁じています。露出行為は、これに違反していると判断されるでしょう。

    罰則は、同条例第17条において、「6ヶ月以下の懲役」または「50万円以下の罰金」と規定されています。

    平成29年3月と6月に枚方市の路上で「男性器を模した玩具を使い、露出したように装った」として、大阪府迷惑防止条例違反の疑いで同年10月に男性が書類送検されています。局部を露出することは当然に禁止されますが、局部に見せかけたものを露出することも「卑わいな言動」とみなされます。冗談や軽い気持ちで行った行為が罪に問われることもありますので、一般人が不快に思う可能性がある行動は慎むようにしましょう。

  2. (2)軽犯罪法違反

    露出行為は、軽犯罪法違反として検挙される場合もあります。

    軽犯罪法第1条第20号には「公衆の目に触れるような場所で公衆に嫌悪の情を催させるような仕方でしり、もも、その他身体の一部をみだりに露出した者」を罰すると規定されています。

    軽犯罪法違反として有罪の判決が下った場合は、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘束する「拘留(こうりゅう)」もしくは1000円以上1万円未満の範囲で金銭を徴収する「科料」に処されることになります。

    刑事訴訟法の規定により、軽犯罪法で逮捕、つまり身体の拘束を受けることは基本的にありません。しかし、罪を犯したと疑われている「被疑者(ひぎしゃ)」が住所不定の場合や、警察による出頭要請に応じない場合は、逃亡のおそれがあるとみなされて逮捕される可能性もあるでしょう。なお、有罪となれば、たとえ軽犯罪法であっても、前科がつくことになります。

  3. (3)公然わいせつ罪

    公然わいせつ罪は刑法第174条で定められている犯罪です。具体的には「公然とわいせつ行為をした場合」、つまり「不特定多数の人が認識できる状態」で、性器の露出や性行為をすることで成立します。

    検挙対象となるのは路上や屋外のみならず、インターネット上で、自慰や全裸の様子をリアルタイム配信する行為なども対象となります。有罪となれば、「6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」または「拘留もしくは科料」に処されることになり、当然、前科もつきます。

    公然わいせつ罪は、発覚の状況によっては特定の被害者がいない場合もあります。しかし、被疑者が特定された場合は、公序良俗に反する罪として、逮捕される可能性は十分にあるといえるでしょう。

2、露出で逮捕された場合の手続きは?

もし、露出の疑いで逮捕されてしまったときは、どのぐらいの期間、身柄を拘束されてしまうのでしょうか。今後のカギを握る「逮捕から72時間の手続き」と、その後の流れをご説明します。

  1. (1)逮捕から48時間は、警察で取り調べ

    逮捕後、容疑のある者は「被疑者」として取り調べが行われます。

    そもそも「逮捕」とは、憲法で保障されている「自由権」を制限することになる行為にあたるため、身柄の拘束に期限が設けられています。刑事訴訟法第203条により、警察は、逮捕後48時間以内に被疑者の身柄を検察に送致するかどうかを決めなければなりません。

    警察はこの48時間のあいだに、取り調べや捜査を行います。目撃者の証言、被疑者の供述内容などを参考に、送致または釈放を決定します。なお、逮捕後、被疑者は家族を含め外部との連絡は一切取れません。例外として、弁護士のみが自由な接見を行うことができます。

    もし、検察に送致されない場合は、2パターンあります。ひとつは、容疑なしという結論が出て、釈放されるケースです。もうひとつは、犯した罪が軽微であるなどの理由から、厳重注意という形で「微罪処分」として、そのまま釈放になるケースもあります。この場合は、今後罪を問われることもありませんし、前科もつきません。

  2. (2)検察への身柄送致から24時間、検察で取り調べ

    検察に身柄を送致された場合、次は24時間以内に検察からの捜査を受けることとなります。ここで、さらに身柄拘束を続けて捜査を行う「勾留(こうりゅう)」が必要だと判断した場合、検察は裁判所に対して勾留請求をします。勾留期間は原則10日間ですが、捜査が必要な場合はさらに10日間、最大20日間もの期間、勾留されることになります。

    検察の判断で、勾留不要という形になれば、やはり「在宅事件扱い」になるため、自宅に帰ることができます。前述のとおり、在宅事件扱いとなったときは、呼び出しに応じながら捜査に協力する必要があります。

  3. (3)勾留期間中に、起訴か不起訴か決まる

    検察は、勾留中に起訴か不起訴を決めなければなりません。もし、起訴となれば、刑事裁判にかけられ、罪を問われることになります。

    起訴にも種類があり、「公判請求」のときは、公開された裁判で裁かれることになるため、裁判が終わるまでは、保釈請求が認められない限り、さらに身柄を拘束され続けることになります。「略式請求」となったときは、書類のみの手続きで処罰が決まるため、身柄の拘束は解かれることになります。

3、露出で逮捕されたとき弁護士ができる弁護活動とは

露出行為は、その状況により、どの法律に触れる行為かの解釈が異なります。刑事事件の経験豊富な弁護士のサポートにより、釈放・不起訴はもちろん、重すぎる罪を課されないようにする可能性を大きくすることができるでしょう。

  1. (1)被疑者が罪を認める場合

    被疑者が罪を認めるケースでは、将来に受ける影響を最小限とするために、まずは早期釈放と、起訴の回避を目指します。万が一、起訴されてしまったときは、量刑を軽くするための対応を行います。

    ●示談交渉
    もし、露出行為による被害者が存在する場合は、示談交渉を行うことが重要です。警察や検察は、被害者から「宥恕(ゆうじょ)文言」を得ているかどうかが重要視するためですます。「宥恕(ゆうじょ)文言」とは、「許している」、「罪を与えたいわけではない」などの意思表示をしてもらうことです。

    そもそも示談交渉は、事件の当事者同士で話し合いを行い、解決を図ろうとするものです。しかし、露出行為は性犯罪のため、加害者側が直接、被害者と交渉することは大変難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

    刑事事件における示談交渉は、弁護士に依頼することでスムーズに進むことが多々あります。もし、相手が示談を拒んだ場合も、その旨を警察や検察にも連絡するなどの弁護活動を行うため、無駄にはなりません。

    ●反省を促す・現場に近づかないよう促す
    送致や勾留を回避するためには、被害者との示談交渉と同時に、警察・検察・裁判官にむけて「反省の態度と過ちを繰り返さないことを丁寧に訴える」必要があります。更生カウンセリングに通う約束や、飲酒は控えるなどの具体的な反省を提示することが重要です。

    被疑者が罪を認め、身柄を解放しても逃亡のおそれがない旨を訴えることで、早期釈放や略式起訴へつながります。

  2. (2)無罪を主張する場合

    身に覚えがないのに逮捕されてしまうケースもあるかもしれません。その場合には無罪を主張することになります。このようなときも、弁護士は全力で被疑者の味方となり、次のような行動をもって、身の潔白を証明できるよう弁護活動を行います。

    ●取り調べや自白で不利にならないようサポート
    長期間の身柄を拘束されると、肉体的には過度の疲労がたまり、遮断されることで精神的にも不安定な状態になります。追い込まれた結果、虚偽の自白をしてしまうこともあります。

    弁護人との接見で精神的にサポートし、虚偽の自白を防ぐ必要があります。

    ●保釈請求のサポート
    まずは身体の自由を回復したい場合、保釈の請求も可能です。保釈とは保釈金を収めることを条件として、一定の制限・条件の上で身柄が解放されます。保釈金は裁判手続きの終了後に還付手続きを行うことで返還されます。保釈中に条件の違反があった場合、保釈金は返還されずに没取されます。

    ●被害者供述の信憑性調査
    露出事件に限らず、被害者の供述だとしても、「客観的証拠との整合」「供述経緯」「供述内容の変遷の有無・変遷の合理性」「供述内容それ自体の合理性」が求められるのが基本です。弁護士は、それらの供述に食い違いがないかを調査し、身の潔白を証明するような働きかけを行います。

4、まとめ

逮捕から72時間以内に釈放されなければ、前述のとおり最長で23日間にわたって拘束される可能性があります。そのあいだ、留置場や拘置所で生活することになり、仕事や学校にも行けなくなってしまうため、その後の生活に支障が出る可能性は否定できません。

家族に逮捕の可能性があれば、一刻も早く弁護士に相談し、72時間以内の釈放に向けて行動を起こすことをおすすめします。

また、性犯罪は再犯率の高いものです。カウンセリングなど再犯防止に必要な機関につなぐことで、再び罪を犯すことがないようサポートをすることも、非常に重要な働きかけとなります。ひとりで悩まず、経験豊富な弁護士に、ぜひご相談ください。

家族が露出行為で逮捕されてしまうかもしれない。そのような懸念がある方は、まずはベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスへご連絡ください。刑事事件の弁護を数多く経験した岸和田オフィスの弁護士が、適切な弁護活動によってサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています