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介護休暇・介護休業がとれない!? 取得の条件と会社に制度がない場合

2021年03月29日
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介護休暇・介護休業がとれない!? 取得の条件と会社に制度がない場合

労働トラブルにもさまざまなタイプがありますが、そのひとつが“労働者として認められているはずの権利を行使したら断られた、解雇された”というものです。

たとえば親の介護が必要になったため、介護休暇の取得を申請したところ、「そのような制度はない」「業務に支障をきたす状況であれば退職してほしい」と言われるなどの状況です。

実際に、大阪労働局が公表している『令和元年(平成31年)における司法処分状況』によると、同年に大阪労働局及び管下13の労働基準監督署が労働法の違反被疑事件として検察庁へ送検したのは80件。法令別では労働基準法等違反が35件、そのうち「解雇」が3件でした。

介護休暇・介護休業を取得したくても断られた、解雇に追い込まれた、そもそも社内制度がないなどのケースは、どう対応すればよいのでしょうか。介護休暇・介護休業の取得条件や会社に制度がないケースを、岸和田オフィスの弁護士が解説します。

1、介護休暇と介護休業

  1. (1)介護休暇は年5日まで介護のために休める

    育児・介護休業法では、家族の介護をしながら働く労働者を守るために介護休暇・介護休業という制度が定められています。制度が導入された背景には、少子高齢化社会で高齢の家族の介護をしながら働かなければならない現役世代の増加があります。

    まずは、介護休暇から解説しましょう。
    介護休暇とは、対象となる家族が要介護状態である場合に、ひとりにつき年5日まで1日単位で単発的に休める制度です。要介護の家族がふたりいる場合には、年10日まで休めます。賃金は原則無給になります。

    介護休暇を取得できるのは、以下の条件に該当するすべての労働者です正社員・非正規労働者を問いません

    • 勤続6か月以上
    • 要介護の家族を介護する労働者


    また、労使協定による締結があれば、以下の労働者は対象外となる可能性があります。

    • 入社6か月未満
    • 1週間の所定労働日数が2日以下


    労使協定とは、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者と事業主との協定のことです。

    なお、これまで介護休暇は半日単位でしか取得できませんでしたが、より柔軟な利用を可能とするために、2021年1月からは1時間単位での取得が認められるようになりました

  2. (2)介護休業は連続93日まで休める

    介護休業は、要介護の家族をケアするために1回あたり連続93日まで休める制度です。

    介護休暇と同じく、介護休業にも原則として勤務先から給与は支払われません。ただし、条件を満たせば雇用保険の介護休業給付制度の利用が認められています。介護休業給付制度を勤務先から申請すると、介護休業取得後に給与の67%が支払われます。

    介護休業を取得できるのは、以下の条件を満たす、すべての労働者です。介護休暇と同じく、正社員・非正規労働者を問いません。

    • 原則として勤続1年以上
    • 介護休業取得から93日後~半年の間に引き続き雇用される見込みがあること


    介護休業も、労使協定による締結があれば、以下の労働者は対象外となる可能性があります。

    • 入社1年未満
    • 申し出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
    • 1週間の所定労働日数が2日以下


    介護休業を希望する日の2週間前までに申請書を勤務先に提出すれば、希望通り休むことができます。

  3. (3)対象となる家族の範囲と要介護状態の定義

    介護休暇・介護休業を取得できるのは、要介護状態の家族がいる労働者です。ここでは対象となる家族の範囲と、要介護状態の定義について解説します。

    家族の範囲は、以下の通りです(育児・介護休業法第2条4号)。

    • 配偶者(事実婚含む)
    • 実父母
    • 配偶者の父母
    • 祖父母
    • 子ども(養子を含む)
    • 兄弟姉妹


    また、要介護状態の定義は、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間(2週間以上)にわたり常時介護を必要とする状態」とされています(育児・介護休業法第2条3号)。
    要介護の具体的な判断基準については、2章で解説します。

  4. (4)残業の免除や労働時間の短縮も申請できる

    要介護状態の家族がいる労働者は、介護休暇・介護休業だけでなく、残業の免除や所定労働時間の短縮を請求する権利も法律上認められています(育児・介護休業法第16条の9)。具体的には1か月24時間、1年150時間を超えた時間外労働が禁止されます。これらは、介護休業や介護休暇と組み合わせて活用することが可能です。

    また、深夜に介護する家族がその労働者のみである場合には、深夜労働(22時~翌5時)を制限するよう申請することもできます。労働者から申請を受けた企業は、連続3年以上、上記の措置をとらなければならないとされています。

2、「要介護」の判断基準

前述の通り、育児・介護休業法の定める要介護状態とは、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」を指します。自治体に要介護認定を受ける必要はありません。

では常時介護を必要とする状態の具体的な判断基準とは、どのようなものなのでしょうか。

①②のいずれかに該当すれば、原則として常時介護を必要とする状態として介護休暇・介護休業を申請できるとされています。

  1. ①介護保険制度の要介護状態区分が要介護2以上
  2. ②下記の12の状態のうち、一部介助・見守り等を要する程度のものが2つ以上、または全面的介助を要する程度のものが1つ以上該当し、かつその状態が継続すると認められること

  • 10分間ひとりで座っていることができる
  • 立ち止まらず5メートル程度歩くことができる
  • ベッドから車いす、車いすから便座の間を移るなどの、乗り移りの動作
  • 水分・食事摂取
  • 排せつ
  • 衣類の着脱
  • 意思の伝達
  • 外出すると戻れない
  • 物を壊したり衣類を破いたりすることがある
  • 周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある
  • 薬の内服
  • 日常の意思決定


介護休暇・介護休業の申請を受けた勤務先は、労働者に要介護状態の証明書類の提出を求めることができますが、必ずしも医師の診断書でなくてもよいとされています。

3、会社に制度がなければ取得できない?

介護休暇・介護休業は、育児・介護休業法によって、該当するすべての労働者に認められている権利です勤続年数などの一定の条件を満たせば、労働者に認められている権利なので、事業主は申し出を断ることはできません

したがって、介護休暇・介護休業の要件を満たす労働者からの申請を拒否したり、介護休暇・介護休業の取得を理由に解雇や不利益な取り扱いをしたりすることは違法となります(育児・介護休業法第10条、12条、16条)。

介護休暇・介護休業の拒否や解雇についての対処法は、次の章で解説します。

4、介護休暇の取得を理由にした不当な扱いは違法

  1. (1)不利益な取り扱いは育児・介護休業法で禁止されている

    繰り返しになりますが、介護休暇・介護休業の取得を理由とする解雇やその他不利益な取り扱いをすることは違法です(育児・介護休業法第10条、12条、16条)。

    たとえば、正社員から非正規雇用に切り替えることを強要する、退職を強要する、降格させる、減給する、賞与をカットする、ハラスメント(嫌がらせ)をするなどが、具体例として挙げられます。

    もし勤務先からこのような被害に遭った場合には、客観的に証明できる証拠を集めておきましょう。有効な証拠の収集方法がわからない場合には、弁護士に相談しアドバイスを受けることをおすすめします。

  2. (2)解雇には客観的合理性・社会的妥当性が必要

    介護休暇・介護休業を理由とする解雇が禁止されていることは育児・介護休業法に明記されており、厚生労働省のホームページでも具体例として紹介されています。

    そもそも労働者を解雇するためには、法律上厳格な要件を満たしていなければなりません。下記の基準で満たしていなければ、不当解雇と判断される可能性が高いでしょう。

    • 就業規則に定めた解雇理由にしたがっていること
    • 30日前までに正しい方法で解雇予告を行っていること
    • 法律上の解雇制限に該当しないこと(介護休暇・休業を理由とする解雇を含む)
    • 客観的合理性・社会通念上の相当性があり、解雇権濫用にあたらないこと


    法律上認められている権利である介護休暇・介護休業を理由とする解雇は、客観的合理性・社会的妥当性も欠いています。

  3. (3)もし介護休暇・休業を理由に解雇されたら

    では万が一介護休暇・介護休業を理由に解雇されたら、どのように対処すればよいのでしょうか。

    まずは証拠として、解雇通知書や解雇理由証明書を請求しましょう。それらに記載されている解雇理由が、不当解雇の証拠となる可能性があります。解雇理由証明書を請求された企業は直ちに交付する義務を負っています(労働基準法第22条)。

    解雇理由証明書を請求したことを証明するためにも、内容証明郵便を使用して請求するのがおすすめです。内容証明郵便は、誰がいつ誰宛てにどのような内容の文書を送ったのか郵便局が証明してくれるというもので、法律手続きにおいてはよく利用されています。

    その他、雇用契約書、就業規則、メールや録音データ、メモなども証拠となる可能性があります。証拠集めで困ったとき、そもそも介護休暇・休業の申請を不当に断られたときは、まずは弁護士までご相談ください。

5、まとめ

介護休暇・介護休業は、育児・介護休業法によって認められている労働者の権利です。会社の就業規則に定めがなくても、同法の定める条件に該当すれば取得できます。もし条件を満たしているのに取得を拒否されたり、不利益な取り扱いを受けたりした場合には、違法行為として会社に責任を追及できる可能性があります。

介護休暇・介護休業についてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士までお気軽にご相談ください。証拠集めのアドバイスから企業との直接交渉まで、幅広く対応いたします

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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