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始業前の朝礼やラジオ体操は労働時間に含まれるのか? 残業代について解説します

2023年02月02日
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始業前の朝礼やラジオ体操は労働時間に含まれるのか? 残業代について解説します

大阪労働局が公表している「令和3年における送検状況について」から労働基準法等違反事件の内訳をみると、「労働時間・休日等」は1位の「定期賃金の不払」と並ぶ13件となっています。

会社によっては、始業前に朝礼やラジオ体操を行うところもありますが、これは労働時間に含まれるのでしょうか。たとえば、2017年にはスズキ自動車が始業前のラジオ体操について生じた残業代を支払うよう労働基準監督署から命じられています。

「ラジオ体操くらい勤務時間に含めなくても良いのではないか」と思う方もいるかもしれませんが、労働の定義は仕事時間だけではありません。本コラムでは、ラジオ体操で残業代が発生する基準や残業代請求の方法について、ベリーベスト法律事務所 岸和田オフィスの弁護士が紹介します。

1、始業前のラジオ体操は労働時間なのか?

ラジオ体操に残業代が発生するかどうかは「労働時間」の定義が問題となります。

  1. (1)労働時間とは指揮命令下にある時間すべて

    労働時間とは何かと考えるとき、一般的には「働いている時間」と思われる方が多いでしょう。しかし、労働基準法には、労働時間とは何か、労働とは何かということについての基準が書かれていません。

    平成12年3月9日、最高裁判所第一小法廷は、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間全てを指し、所定労働時間以外でも使用者から義務付けられたことをしている時間は労働時間となるという判決を出しました。

    この判決によって、ラジオ体操が参加を義務付けられている場合には、その時間も労働時間になるということが言えます。また、ラジオ体操のみならず、始業前の朝礼や就業準備にかかる時間も同様に労働時間と言えるのです。

  2. (2)飲み会やレクリエーションが「労働時間」にカウントされることも

    労働時間の判断基準は使用者の指揮命令に置かれているかどうかで、その具体的な中身は問われません。ということは飲み会やレクリエーション、社内研修であっても使用者の指揮命令下にある場合は労働時間になる場合があります。つまり全員参加を義務付けられたイベントは業務命令によるものと判断されるのです。

  3. (3)ラジオ体操に参加した労働時間は分単位で計算される

    ラジオ体操の時間はラジオ体操第1、ラジオ体操第2を合わせても10分弱の時間です。これでは短すぎて残業代を計算できないのではと思われる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、世の中には残業時間を15分単位や30分単位で区切るような会社もありますが、残業時間は1分単位で計算し、請求することができます。

  4. (4)本当の始業時間・終業時間はいつ?

    ラジオ体操だけではありません。他にも始業前に行っていること、終業後に行っていることがあるならそれも労働時間として算出できる可能性があります。「指揮命令下に置かれているか否か」という基準で毎日のルーティンを見直してみましょう。

2、ラジオ体操が強制されなければ労働時間でなくなるのか?

たとえ業務と関係なさそうなラジオ体操であっても使用者の指揮命令下で行われれば労働時間に含まれます。その一方で使用者の指揮命令下に置かれていなければたとえ仕事に関係あることでも労働時間に含まれません。

スズキ自動車もこの問題が明らかになったとき一部の部署では、任意参加ということが伝わっていなかったと答えたそうです。

しかし強制ではないと言われていても、労働者から見ると拒否しづらいことはあると思います。

  1. (1)実質的に強制と呼べるものになっていれば労働時間の可能性あり

    指揮命令下に置かれていないということを、「表立って強制しなければ良い」と曲解してはいけません。先ほどご紹介した最高裁判決では使用者に義務付けられた場合と、その行為を余儀なくされた場合を指揮命令下に置かれていたと判断しています。

    次のような場合は任意参加と言えないでしょう。なお、実質的に強制させることを黙示の指示と言います。黙示の指示は法の下で客観的に判断されます。

    • ラジオ体操に参加しないと人事評価が下がる
    • ラジオ体操に参加しなかった人間が社内で孤立させられる
  2. (2)残業禁止も名目でなく実質を問われます

    黙示の指示は残業においても問題となります。たとえば残業禁止をうたっている企業が残業をしない社員に対して不当に人事評価を下げたりパワハラをしたり、または残業をしなければ終わらないような仕事量を割り当てて帰れないようにすることも黙示の指示となります。

    また、外回りや出張のように会社の外で働いた場合も指揮命令下にあると判断されれば労働時間となります。したがって持ち帰り残業も労働時間に含まれます。

  3. (3)ラジオ体操が労働時間とみなされないのはどんな場合?

    以上のことからラジオ体操が労働時間とみなされないのは、このような場合であると考えられます。

    • ラジオ体操への参加が自由
    • ラジオ体操に参加しなかったとしても人事評価上、参加者と扱いが変わらない


    ラジオ体操への参加が自由であることは鉄則で、黙示の指示があった場合は労働時間と認められます。

  4. (4)会社に拘束されない時間は労働時間と言えない

    会社の指揮命令下にあればラジオ体操や朝礼、朝の勉強会や着替えも労働時間となります。労働基準法においては会社の指揮命令下に入った時間が始業時刻となり、会社の指揮命令下から離れた時間が終業時刻となります。

    ということは、同じようなことをしても裁量がある場合は労働時間と認められません。
    たとえばこのような場合は労働時間への算入が困難です。

    • 会社で任意参加のラジオ体操をしているが、自分は家でラジオ体操をしている
    • 家で出社の準備をする
    • 朝、会社とは無関係の勉強会に参加する
    • 上司に誘われて飲みに行く

3、ラジオ体操によって発生した残業代は請求できるの?

賃金は労働時間に応じて支払われます。そして所定労働時間の前後で労働した場合はそれに応じた残業代が支払われます。よってラジオ体操によって残業代が発生した場合は、従業員はそれを会社に請求することが可能です。

こちらでは残業代請求のルールや流れについて紹介します。

  1. (1)ラジオ体操の残業代は2年前の分まで請求できる

    残業代をはじめお金を請求する権利には消滅時効というものがあります。これは「○○年以内に請求しないと請求する権利がなくなってしまう」というもので、残業代を含め未払い賃金を請求する場合は2年と決められています。
    消滅時効を止めるには催告という手続きをしますが、停止できる期間は最大6ヶ月です。
    残業代の未払いに気づいたら早めに行動することが大切です。

  2. (2)ラジオ体操の残業代は時間外手当までしっかり計算する

    ラジオ体操は始業前の数分ですが、時間外労働と認められれば残業代が出ます。そのため、普通の残業と同じく時間外手当が出ます。始業前の労働も「残業」なのです。

  3. (3)残業代請求は弁護士へ相談を

    残業代の未払いを解決したいなら労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。労働基準監督署は残業代の未払いについて相談することで会社に対して指導してくれる場合があります。そのためうまくいけば会社の制度が変わるかもしれません。しかし労働基準監督署の指導には法的拘束力がないため、何も変わらないこともないとは言えません。

    弁護士に相談するのは会社へ直接残業代を請求する場合です。弁護士は労働者に代わって企業との交渉や訴訟を行うことができます。立場の弱い労働者の味方となり得ます。

  4. (4)残業代請求の流れを簡単に紹介

    残業代請求はこのような流れで行われます。

    • 会社に請求する
    • まず、会社に残業代を請求します。しっかりと請求額とその根拠がわかるよう、書類を作成すると良いでしょう。そして請求は、内容証明郵便を使うと良いでしょう。内容証明郵便はいつ、誰が誰宛てにどのようなものを送ったのか郵便局が公的に証明する郵便だからです。「請求した」「請求されてない」といった行き違いが生じません。

    • 任意交渉する
    • 会社に内容証明郵便を利用して請求したにもかかわらず、会社側が応じてくれない場合は企業と話し合います。この際、労働者ひとりで会社と対峙した場合、会社によっては相手にしてもらえないこともあり得ます。しかし、弁護士であれば会社側もきちんと対応しなければと考えますし、労働者ひとりで話し合うよりも交渉が早く進む可能性が高まります。経験豊富な弁護士であれば訴訟をせずに解決するメリットを企業に示しながら交渉を進めることが可能です。

    • 労働審判を行う
    • 企業が交渉に応じない場合は労働審判を地方裁判所に申し立てます。

    • 訴訟をする
    • 訴訟をすると判決を得られます。判決は容易に覆すことができないため訴訟は紛争解決をするための最後の手段です。訴訟は半年から1年前後かかることが多いです。

4、まとめ

ラジオ体操についての残業代請求は他の社員から「たかが数分のことだからいいじゃないか」と言われるかもしれません。しかし、労働は使用者の指揮命令に置かれているかどうかが問題ですから労働とみなされるものについては、正当な対価を求めるべきと言えます。

「私の会社でも昔から始業時間前のラジオ体操があるが、本当に残業代を請求できるのかな」と思われるようでしたら一度、ベリーベスト法律事務所・岸和田オフィスまでご相談ください。経験豊富な弁護士が丁寧にお話しを伺ったうえで、個別の事情に基づいたアドバイスをいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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